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目標はチーム得点王です。ここ帯広で勝つことで皆に恩返しがしたい~志賀紅音キャプテンインタビュー

「私もそうなんですが、周りに頼るのではなくて、選手の誰もがしっかり得点への意識をもってプレーすることが必要で日本はそれをできるチームだと思っています。一人一人が『勝つんだ』という強い気持ちで望めば必ず日本は勝てると思っているので、私自身もいま、大会に向けてとてもワクワクした気持ちです」。

慎重に言葉を選びながら話す様子は頼もしく見える。言葉の端々からここまで積み上げてきた自信が垣間見えた。

1/5に行われた、出場全8チームのキャプテン・監督が一堂に会しての前日記者会見のあと、インタビューに応じてくれた日本チームのキャプテン、志賀紅音選手の言葉だ。

 

会見では参加8カ国、各チームのキャプテンが大会での目標を次々に語るなか、最後に開催国の代表キャプテンとしてマイクを持った志賀紅音選手。

「日本の長所であるスピードを生かして、60分間足を止めずに決勝トーナメント進出という目標に向かって頑張って行きたいと思います。宜しく御願いします」

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大会へ向けての抱負をコメントする志賀紅音キャプテン。左は飯塚監督

記者の目からは、地元帯広での試合前会見で相当緊張をしているのかなという様子にも見えたが、インタビューでその事を聞くと彼女は一気に表情を崩し、「あまり人前で話すのは好きじゃないので」とはにかんで見せた。

 「会見はピリピリしていたと言うよりは和やかな雰囲気でした。生まれ育った帯広で試合ができるというのは、これまで支えてきてくれた皆さんに恩返しができる機会だと思っています」。

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全8チームの監督とキャプテンが一堂に

 

地元の女子チーム、帯広レディースでプレーし、腕を磨いてきた志賀紅音選手。3年前、姉の志賀葵選手(現TOYOTAシグナス)とともに日本代表に選出されてからずっと、帯広が産んだ美女アスリート姉妹として注目を集めている。

残念ながら、最後の最後ギリギリのところで紅音選手はピョンチャン五輪代表チームからは漏れてしまい本大会出場とはならなかった。しかし、ディフェンスだった当時から、パックコントロールの上手さ、正確で速いシュートを打てる力、さらには視野の広さと試合の流れを読む状況判断にも優れており、いつかは年齢制限のない日本代表でも間違いなくチームを引っ張る存在になるだろうと目されていた。

 

今回のU-18世界選手権は、2022年北京冬期五輪メンバーに入ってくるであろう各国若手の選手が一堂に会す大会でもある。

年下の選手をまとめてチームキャプテンとして臨むという経験もきっと、志賀紅音選手の将来に向けて大いに役立つはずだ。

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彼女への期待も高く、地元紙ではカラーで大きく報道されている(1/5付十勝毎日新聞の紙面から)

 

そんな彼女がフォワード(FW)になったのは昨年5月、成田空港でのこと。

今大会を見越して招集された若手中心のメンバーが5月のフィンランド遠征に選ばれていた。成田空港に選手が集合し、いざこれから出発しようかという時に、飯塚祐司監督が志賀紅音選手の元へ。

そして「この遠征から、FWで行くぞ」との構想が伝えられた。

彼女は監督のその言葉をとてもナチュラルに受け止めたという。

「その時も、特に質問などする事なく自然にFW転向を受け入れた感じだった気がします。私がFWになったのは、日本が得点を取るという部分でまだ足りない部分があって、それで自分がコンバートされたと思っているので期待にしっかり応えて私が点をとるんだ、と強く思っています」という志賀紅音キャプテン。「監督も『自分がやりたいと思ったことをやっていいぞ』と言ってくれているので、その点ではのびのびとプレーできています」。

 

飯塚監督は日本の持ち味であるスピードを生かしつつ、かつそれが得点に繋がるようにより攻撃的なシステムを用意してこのチームを育て上げてきた。実際に志賀紅音選手はその後の海外遠征でも、強豪相手でも得点やアシストを量産。監督の「過去にも日本は得点力の不足で苦しんできた。そのため、メンバー選考ではFW、DF問わずシュート力のある選手、そしてそれに対して向上力のある選手を重点に選んできた」というその狙いに対して、キャプテンみずからキーパーソンとして期待に違わぬ活躍を見せている。

 

「今大会ではチームの得点王になれるように頑張りたいと思います。日本は昨年、海外遠征などで多くのチームと対戦するなかで非常に良い成績を上げてきたので、そこは選手全員が自信を持ってプレーできる理由になっています。

ただ、夏の試合では相手国もフルにメンバーが揃っていたという状況ではなかったので、違ったチームとなって今回日本に来ているはず。そこは日本チームの誰も安心せずにしっかり気持ちを引き締めて居ると思うので、大丈夫だと思います。

このカテゴリー(U-18)での試合はラストなのでしっかり勝ってオリンピックなど次のステージに繋げたい。

慣れ親しんだ帯広のリンクで戦えるということは有利であることは間違いないので、第1ピリオドから積極的にゴールに向かって行きたいです」

 

帯広の、そして日本中の女子アイスホッケー選手やファンの思いをしっかり受け止めて、彼女は開幕のリンクに立ってくれるはずだ。
U-18女子日本代表の戦いがまもなくスタートする。(Text&Photo:Tomoki Sekiya)