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スマイルジャパン、初戦快勝! 世界選手権トップDiv初のメダルに向けて順調発進!!


IIHFアイスホッケー女子世界選手権トップディビジョン DAY①

2019年4月4日 18:00(現地時間) 
会場:メトロアリーナ サブリンク(フィンランドエスポー) 観客:202人

Text&Photo by 関谷智紀(Tomoki Sekiya)

 

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会場となるエスポー・メトロアリーナ

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日本の初戦は、サブリンクを使ってのゲームとなった

 

日本 3(0-0,2-0,1-0)0 フランス

シュート数:日本38(15-7,9-6,14-12)25フランス

得点経過及びアシスト:

第1ピリオド なし

第2ピリオド 7:28 日本1-0 G11 三浦(芽)A15浮田 

        10:45 日本2-0 G4 床(亜) A12 大澤

第3ピリオド  3:15 日本3-0 G18 高 A2 小池

日本が勝ち点3を獲得

 

参加10カ国に拡大後初となる世界選手権トップディビジョン開幕!

 

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「普段通り」の高いパフォーマンスを見せてくれたGK藤本



日本女子アイスホッケー初のメダル獲得に向けて、日本が順調に船出!

 

フィンランドの首都・ヘルシンキの西側に隣接する市、エスポーが今大会の舞台。

IIHF女子アイスホッケー世界選手権トップディビジョンはこの2019年大会から、参加国が8⇒10へと拡大。将来的に女子アイスホッケーの世界的な発展を見越しての措置だろう。

次回2022年の北京冬季五輪もまだ発表されてはいないが、この世界選手権と同様に参加国が10となる模様だ。

 

今大会は世界ランクの順に、上位5チームをA、下位5チームをBのグループに分けて総当たりのリーグ戦が行われる。グループの振り分けは以下のようになる。※丸数字は世界ランキング

 

グループA

アメリカ①・カナダ②・フィンランド③・ロシア④・スイス⑤

グループB

スウエーデン⑥・日本⑦・ドイツ⑧・チェコ⑨・フランス⑩

日本は、Bグループの2番手という位置に納まった。

 

この大会では、準々決勝進出チームも2つ増えて8チームとなった。Aの5カ国とBの上位3カ国が準々決勝に進出できる。

一方、降格の条件も厳しくなった。Bの下位2カ国が自動的に、ディビジョンIグループAへと降格することとなる。

 

女子日本代表の飯塚祐司監督は、今大会の目標について

「まず最低限の目標は絶対に降格しないことです。グループBでトップになれば準々決勝にてA3位と当たれるので、スウェーデンチェコなどの強い相手に勝って、トップ通過を狙いたいですし、その力も日本は持っていると思います」と話してくれた。

 

 

日本の初戦の相手はフランス。昨年まで2部相当のディビジョンIグループAで戦っていたフランスについて、飯塚監督は「このところフランスと対戦していないので、なかなか情報が無い。そういう意味で非常に難しい相手」と評する。

相手FWのうち数名が高いスキルを持っており、隙を見せればそれを突かれるようなやや厄介な相手とも言えた。

 

常に難しい世界大会の初戦。流れを引き寄せたのは守護神・藤本那菜

 

世界選手権の初戦は互いに探りを入れるような形で始まった。

緊張感からか、日本選手の動きに固さと細かいミスが目立ち、時々フランスに攻め込まれるシーンも目に付く、日本にとって重苦しさを感じる展開に。

 

先に失点してしまうと、一気に浮き足だってしまいかねない展開だったが、やはり日本の守護神であるGK1藤本那菜はまったく動じていなかった。フランスのシュートをことごとく止めるだけでなく、大きなリバウンドも出さないので相手に2の矢3の矢を打たせることをまったく許さない。

遠目からのシュートもDFと連携して完全に止めており、藤本(那)は試合の流れを徐々に日本へと導く、重要な仕事をいつものようにしっかりと果たしてくれた。

 

「相手より速く、たくさん走る」日本らしさが出た第2ピリオド

 

第2ピリオドに入ると、徐々に日本の動きにスイッチが入る。

特に相手の攻撃を止めて反撃に出るところでの動きが良く、FWが良い形を作って相手ゴールに攻め込むシーンも増えてきた。

第2ピリオド5分を過ぎたあたりで、日本らしい速さが出てきたな、と思って見ていると7:28秒に待望の先制点が生まれる。

「持ってる」三浦。世界選手権トップディビジョン初戦で初ゴール! 

アタッキングゾーンでのフェイスオフから出たパックを15浮田瑠衣が上手く体を入れて奪うと、GKに対して右45度の角度からシュート。

フランスのGKはなんとか体に当てるも、パックは左サイドに流れた。そこへ良いタイミングで入ってきた11三浦芽依がそのパックを叩く。三浦のシュートはGKの左サイドを抜いてゴールネットに突き刺さった。

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日本の先制ゴールは三浦芽依

 

三浦はもちろんこれが世界選手権での初ゴール。新星がゴールを決めるという、日本にとっては願ってもない展開で1-0とリードを奪う。

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スマイルジャパンらしい笑顔で開幕

 

このゴールでさらに日本は動きの良さを増し、一気に滑りのスピードが上がったようにも見えた。

「頼りになる選手」たちがしっかり連携して奪った2点目

第2ピリオド10分すぎには、相手ゾーン深くへとフォアチェックに入った13藤本もえこがパックを奪うと、早い動きで相手DFを翻弄し完全に相手の守りの形を崩す。そこから、まずはゴール左から4床亜矢可がシュート。大きく弾けたそのリバウンドを今度はゴール右側45度から12大澤ちほがシュート。そのリバウンドのパックが左に大きく弾けたところを再び4床(亜)がしっかり詰める。

日本の2点目は、チームの核である選手が左右にパックを大きく動かしながらGKを揺さぶって決めるという、実に理想的な形でのゴールだった。

まだ試合時間は半分残ってはいるものの、日本らしさが存分に発揮されているのを見て取れば、正直日本の勝利を確信できたのもこの瞬間だった。

 

その後も相手にシュートこそ打たせるものの、危険なタイミングや角度でのシュートをフランスに与えるシーンはほとんど無く、抜群の安定感を発揮するGK藤本(那)のセービングが光った。

 

第3ピリオドには日本がパワープレーのチャンスを得ると、10米山知奈と3志賀葵がブルーライン付近で横パスを左右に大きく展開。その動きで相手GKを横に揺さぶってから2小池詩織がゴール右に待ち構えていた8細山田茜にキラーパス。細山田がそれをしっかりと押し込んで3-0※とし、日本は完全に試合を決めた。

※IIHFの公式記録では18高のゴールとなっているため、当サイトも記録表記はそれに準じます

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細山田のゴールで3-0に

 

その後、単発でフランスが攻め込むシーンもあったが、日本は余裕を持ってフランスを無得点に抑え、完封勝ち。

快勝といって良い内容で、この世界選手権の初戦をモノにした。

 

明るい雰囲気で2戦目ドイツ戦に臨む

 

日本は自分たちの力で、どうしても固くなりがちな初戦というシチュエーションに打ち勝つことができた。

試合後、ドレッシングルームに戻る選手達の表情もみな非常に明るく、大会での良い流れを掴むことが出来たことは間違いないだろう。次のドイツ戦に向けても、非常に良い状態を保って試合に入ってくれるはずだ。

 

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各選手とも充実した表情だった

 

なお、日本よりランキングが上のスウェーデンが延長PS戦の末、ドイツに1-2で敗れた。

なにかの幸運も日本に巡ってきているような、そんな気もする大会初戦だった。

 

 

 

 

<ゲームベストプレイヤーに選出 浮田瑠衣選手>

ーー浮田選手のアシストから先制点が生まれました

第1ピリオドはなかなか点が取れませんでしたが、インターバルで「次は絶対に取ろう」とみんなで意識統一をして臨みました。フェイスオフから展開するといったアイデアを出しながら臨んで、点を取れたのが良かったと思います。

相手のGKの出来がとても良かったのでリバウンドを出させることを狙ってプレーしました。リバウンドから得点、という意識はみんな共通で持っていたと思います。

 

初戦勝って終われ、良い流れを引き寄せられたと思います。 

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<初の世界選手権で早速の初ゴール 三浦芽依選手>

ーー今大会日本のファーストゴールは三浦選手でした

フェイスオフからの流れでバックハンド側に来たリバウンドを決めることが出来ました。嬉しかったです。

簡単に勝てる相手ではないと分かっていたのですが、想像以上に第1ピリオドに点が取れずに苦しい時間帯が続きました。監督からはゴール前にパックを集めてリバウンドを狙うように、と言われていたので得点が出来て良かったと思います。

ーー次の試合に向けて

ドイツ戦はタフな試合になると思うので、60分間日本らしいホッケーを貫いてスコアして勝ちたいと思います。

 

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<盤石の動きでチームを支えた 大澤ちほキャプテン>

ーー初戦、順調な滑り出しです

大事な試合の初戦をしっかり勝ち切れて、勝点3を取れたのは良かったと思います。

全試合勝つつもりで行かないと行かないので、チームとしては目の前の試合を60分勝ちすると言うことに集中しています。

ーー大澤選手の絡んだ、日本の2得点目について

日本の持ち味であるプレッシャーを生かして、相手の守りを小さくさせた上で、外側からシュートを打ってリバウンドを叩くことを繰り返して最後は床亜矢可選手が決めてくれたゴールだったのですが、日本のスピードとスタミナを活かせた内容だったと思います。

練習ではアルトコーチから「リバウンドをハードにハードに」と言われていたので、その結果が出たと思います。

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