アイスホッケー&アイスクロス情報新Webサイト準備室

【4/28開幕! 世界選手権Div-IBに臨む日本代表を現地密着取材中!】日本とアジアのアイスホッケー、アイスクロスの選手を、男子・女子・パラのオールジャンルで応援していくWebサイト。その準備室です。2019年9月オープン予定

日本アイスホッケーの未来を創る、若き“青い騎士”たち~5/18、2戦目に臨む『東京ブルーナイツ』

アイスホッケーファンの皆様、こんにちは。

アイスホッケー&アイスクロス情報新サイト準備室の関谷です。

 

女子、男子とも日本国内、そして代表の公式戦シーズンは終了。各選手はつかのまのオフの後、次のシーズンに向けて始動します。

チームによっては、陸上での自主トレなどをすでにスタートさせている所もあるかもしれません。

 

さて、今回当サイトが注目するのは、

今週末5/18(土)19:30~、東京・ダイドードリンコアイスアリーナ東伏見)にて開催される『東京ブルーナイツ対関西レッドスター(関西学生選抜)』の試合です。

 

開催要項などはこちらのサイト『アイスポ!』を参照ください>

blues-hockey.net

 

少し前の試合となりますが、その東京ブルーナイツが2月に社会人・電通と戦った創設試合の模様を今回も当サイトではフリーライターの沢田聡子さんに取材・執筆を御願いしました。

 

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東京ブルーナイツ、創設試合の模様

創設試合の雰囲気を感じていただける内容と思っています。

また、簑島選手はじめ、この年代の選手達がアイスホッケーの未来を彼らそれぞれの立場で真剣に考えているということも感じていただけるのではないでしょうか?

 

この記事で興味を持っていただければ、ぜひ5/18(土)ダイドードリンコアイスアリーナ西武新宿線東伏見駅前)で彼らのプレーを生で見て欲しいと思います。

東京ブルーナイツの試合は2回目の開催ということで、演出面でも何らかのブラッシュアップがされているのではないかと期待しています。

今回は、関東と関西から志ある選手が集まっての東西対抗戦の形式。

関西圏の大学でプレーする選手を東京で見られるというのは、ここまで全日本選手権などの限られた機会でしかなく、そういう意味で5/18の試合は非常に意義があると思われますし、公式戦とはまた違う楽しい雰囲気のなかで、学生たちの新鮮でエネルギーに満ちあふれたプレーが展開されるのではないかと期待しています。

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日本のアイスホッケーの未来を創る、若き“青い騎士”たち

<Text by 沢田聡子 / Satoko Sawada>※文中敬称略

 

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ホッケーに懸ける情熱を知って欲しい、という選手が集結した

■東京のホッケーチーム、ブルーズ

2019年に本格始動した大学アイスホッケーの新チーム、東京ブルーナイツ(以下、ブルーズと表記)のチームカラーは青。公式サイトによれば、その「青」は「青年、青春、そして未成熟という意味を持つ」。

ブルーズは、大学の枠を越えた関東大学リーグの選手からなるチームだ。

ブルーズが目指すのは、アイスホッケーの未来を担う年代である大学生選手の強化だけでなく、スタッフも含め学生達を社会に貢献する人材として育てることだという。

 

2月16日、東京都西東京市ダイドードリンコアイスアリーナで、ブルーズの創設試合が行われた。

762人の観客が見守る中、社会人チーム・電通と対戦。第2ピリオドまではシーソーゲームの様相を呈し、2-3と電通に1点リードを許して迎えた第3ピリオド、ブルーズは怒濤の攻撃を開始。一気に4点をもぎとり、記念すべき創設試合を白星で飾った。

 

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照明などの演出が凝らされた会場

通常の大学ホッケーの試合とは少し違う会場の雰囲気は、アイスホッケー会場の “常連”ではない観客が多かったからかもしれない。

初めてアイスホッケーを見に来たという女性は、「知り合いに『アイスホッケー見に行かない?チケットがあるよ、タダだよ』と言われて、時間もあったので」と話した。
また、大学ホッケーは1、2回しか観戦したことがないという女性もいた。「知り合いの子が出るので、ちょっとどんなぐあいか見に」来たのだと話してくれた。

 

話を聞いたもう一人の若い女性は、電通の選手の親族だった。アイスホッケーの試合は時折見ており、早慶戦も観戦したそうだ。「すごくレベルが高くて楽しいです」と試合を満喫していた。

「アイスホッケーを見始めたのは最近なんですけど、いろいろな人が見に来ていて、すごくいいなと思います。見に来る機会があれば、みなさんはまるんじゃないかな」

 

また、元々アイスホッケーに興味があり、ホッケー界の新しい動きという認識でこの試合に足を運んだ男性もいた。奥様が、ホッケー関係者のSNSを見て教えてくれたという。「以前は、早慶戦を見に来たりしていました。応援も面白いし、結構活気があったので」という彼に、観戦しようと考えた理由を尋ねてみた。

「今アジアリーグがちょっとゴチャゴチャしている一方で、横浜グリッツ(アジアリーグへの新規参入を目指す新チーム)ができたり、変わろうとはしているけど旧態依然のところもある。あとは東京でやる試合の数が圧倒的に少ないので、見られる試合は見たいかなと思ってお邪魔しました」

 

アジアリーグの名門チーム・日本製紙クレインズが発表した今季限りでの廃部は、アイスホッケー界を揺るがすニュースだった。その反面、新しいかたちのチームを立ち上げる動きもあり、日本のアイスホッケーは変革期にあるのかもしれない。その中で若さあふれるブルーズは、試合に飢えている東京のホッケーファンのニーズに応えるチームになろうとしている。

 

■大学から始まるレベルアップ

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史習成リック

この日は負傷のためコーチとしてベンチに入った史習成リック(慶應義塾大学4年)は、「選手は様々なチームからきているので、自由にクリエイティブにプレーさせることが一番」と采配の意図について語った。

「普段だと自分達のチームでいろんなシステムがあるんですけど、このようなイベントでせっかくのチャンスだから、みんな楽しくできたらいいなと」

「いい試合で、逆転勝ち。アイスホッケーはあまり知られていない中で、エキサイティングなところを少しでも見て楽しんでもらうことができたら、成功かなと」と手応えを感じていた史習成。アジアリーグでプレーした経験もある彼がブルーズの活動に見出した意義は「若手の育成」だった。

「ここ(大学ホッケー)から始まらないとトップリーグのレベルがどんどん下がってしまうので、このように集まってできるチームでみんなのモチベーションを少しでも上げるのが、一番トップリーグ(の強化)につながると思っています」

  

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矢島翔吾(中央・青ユニフォーム)

往年の名プレーヤー・矢島敏幸さんを父に持つサラブレッド、矢島翔吾(中央大学1年)は、記念すべきブルーズの初ゴールをアシストした。

「僕は選手なので、アイスホッケーを見てもらうためには、一生懸命プレーすることがまずできること。この試合でそれができたので、またブルーズの試合がある時にはもっと人が集まるように、どんどんアイスホッケーを広げられれば」

NHLへの関心も高い矢島は、北米に比較し日本の状況を「情報が足りない」と感じている。

 

――お父さんが現役の頃ホッケー人気は高かったようですが、その頃に戻すにはどうすればいいでしょうか?

「うーん、なんだろうな…やっぱり、もっとトップの選手が情報を発信するのが一番だと思います。見て下さった方々に感謝の気持ちを伝えていければ、もっとファンも増える。ファンを集めることはこれからも大事になるんじゃないかな」

 

■「“0”から“1”を作った日」

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簑島圭吾(写真一番左)

ブルーズのキャプテンは、日本代表チームでもプレーする蓑島圭悟(中央大学4年)が務める。
恵まれた体躯だけでなく、その優れたテクニックは、初めてホッケーを見る人の目をも引いたことだろう。

“東京都から学生がアイスホッケーを発信していこう”というコンセプトでやってきて、準備期間が少ない中で、SNSだけでよくここまでお客さんを集めて、すごいなと思っています。山口さん(ブルーズを運営するアイススポーツジャパン代表・山口真一氏)の尽力と、選手の協力しようという意志があって、どんどん変わってきました。今までアイスホッケーの世界はちょっと閉鎖的な部分があったので、これからみんなが行動を起こせるような世界になる第一歩だったかな」と丁寧に語る。

「他大学にはあまりしゃべったことがない選手も多かったんですが、みんなと話していると本当にホッケーが好き。“なんとかしたい”と思っていたけれど、自分が動いたところで…と思っていた。そこで山口さんがこうやって一石投じてくれたので、それを信じて参加したら、やっぱり楽しかったです」

 

 超大学級の実力を持つ簑島は日本製紙クレインズへの入部が内定していたが、クレインズは今季いっぱいで活動を終えることになってしまった。進路として「海外に行きたい」という簑島は、今後ブルーズの活動には「オフシーズンなどに、裏方としてでも協力しようかなと思っています」と言う。5~6月頃に予定されているブルーズの次の試合にも出場する予定だ。

 

 この日もリンクサイドで忙しく動き回っていた山口代表は「毎日毎日予期せぬこと」が起き、“0”を“1”にする難しさを知ったと振り返っている。

この一発で、お祭りで終わるつもりはない。継続していかなくてはいけない。続けていけば、応援してくれる人はたくさん出てくると思う。今まで僕の頭の中にしかなかったチームが人の目にふれ、お客さんがきてくれた。多分初めてホッケーを見に来た人が多いので、もし『面白かった』と言ってくれれば、それが一番いいかなと」

 

印象的だったのは、プレーの合間にリンク上のスクリーンで手拍子を促す選手に観客が同調していた場面だ。簑島もそのシーンについて語っていた。

「観客も手拍子に乗ってくれたりして…今日は本当に“0”から“1”を作った日。失敗や課題、至らない部分もあったんですが、それが見つかったので、次はすごく期待できるかなと思います」

 

若さが“未熟さ”よりも“センスのよさ”というプラス面で際立ったイベントだったが、筆者から一つだけお願いがある。
次回の試合では、背番号の分かるメンバー表を頂けないだろうか。魅力的なプレーをする選手の名前をしっかりと確かめながら、次のブルーズの試合も是非観戦させて頂きたいと思っている。

若い力が、日本のアイスホッケーを明るい方向へ引っ張っていくことを信じながら。

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充実した表情には、逆転勝ちという結果以上の何かがあったのかもしれない

 

  

※5/18の試合について詳細は東京ブルーズについては主催者の情報サイト「アイスポ!」(https://blues-hockey.net/)をご覧ください。

※今記事の写真は主催者のアイススポーツジャパン様より提供いただきました

 

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編者より>

先日は早慶戦アイスホッケーが盛況のなか行われました。令和の時代を迎えて、アイスホッケー界もいろいろな年代の選手やスタッフから、アイスホッケーの未来のために、何らかの形で発信しようと試みる選手が出てきたり、それをサポートしようという動きがいろいろな形で出てきているというのは心強いことです。

なかでも、多くのファンがその動向を気にしていると思われるのが、蓑島圭悟選手です。(もちろん当サイトも大注目しています!)

世界選手権ディビジョンIBのメンバーに選ばれ、エストニアで日の丸を背負って戦った蓑島選手。

彼自身、様々な形でアイスホッケー選手としての発信を試みており、プレーのみならずそういった部分でも同世代の中心で大きな光を放っています。 

 

沢田さんの原稿でも触れられたように、現状では進路について「まったく未定」(蓑島選手)とのことですが、世界選手権Div-IBを終えたいま、彼がどのようなことを考えているのかは、また別の記事でご紹介する予定です。

  

5/18の試合では「簑島圭吾選手壮行試合」というサブタイトルが付いており、本人にもフィンランドでの代表合宿中にそれを聞いた際には「何をするのかまったく分かりません」と笑っていましたが、どのような内容が飛び出すのか期待したいと思います。

追記>5/18は簑島選手の応援企画もある模様。なお簑島選手は翌日の練習試合には出場しないとのこと。
https://blues-hockey.net/update/2019/05/18-5.html

 

ぜひ今週末は、 若きアイスホッケープレイヤー達の情熱に触れてみてください。

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東京ブルーナイツは2度目の試合に挑む。これは今までを考えれば画期的かも知れない