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クレインズ逆襲のカギは組織力とディフェンスの連携だ ~アジアリーグ・プレーオフファイナル第3戦展望

Text by 関谷智紀

(3/14の試合前、画像でFacebookにUPしたものを再掲します)

本日、現地19:10(日本時間17:10)より、アジアリーグ2018-19シーズンのプレーオフファイナル第3戦が行われる。

この第3戦からは全てロシア・ユジノサハリンスクのアイスパレスクリスタルにて試合が行われる。ここまではサハリンがアウエーの地・釧路で日本製紙クレインズ相手に連勝を果たしており、あと1つで初のアジア制覇という状況となっている。

 

しかしながら、皆さんご存じの通り日本製紙クレインズは絶対に負けられない状況だ。

アウエーで3連勝という高いハードルではあるが、選手達はまだまだ諦めておらず、まず1つ勝って流れを引き戻し、週末決戦に持ち込みたいところだ。

 

現状、試合運びの上手さではサハリンが優勢だ。

クレインズは、「しっかり守ってロースコアの展開に持ち込む」というゲームプラン通りの試合はできているが、残念ながら1対1でのバトルで苦戦を強いられている。

第2戦後、記者からの問いにサハリンのボストリコフ監督は、

「バランスよく戦っていたというご指摘ですがその通りです。ゲームの流れに沿って、守る時は守り、攻めに転ずるといった戦略は柔軟に対応出来たと思います。2試合とも、相手の守りが良く、思っていたよりゴールを奪うことはできなかった。我々が相手のゴールを最小限に抑えることができ、取るべき時に点を取れたのが大きかったですね」。

とチームの動きには手応えを感じている様子だ。

 

要所要所でサハリンの選手は体格を利して、パックではなく選手に当たって動きを止めてクレインズの細かいミスを誘うというプレッシャーをかけ、こぼれたパックからチャンスとなれば速攻から波状攻撃という形で得点を奪ってきた。

特に狙われているのが梁取慎也選手で、第1戦ではハードチェックにあって、一時はリンクを離れるくらいのダメージを受け、第2戦でもゴール裏のバトルで執拗に狙われていた感があった。

梁取選手は第2戦後も「身体は全然大丈夫です。絶対にサハリンで勝って帰ってきます」と気丈なコメントをしてくれたが、彼をサポートする動きで守りを再度構築できればチャンスは広がるはずだ。

 

クレインズ小林監督は「とにかく我慢が一番大事。力のあるサハリンに対して、2試合ともしっかり抑えていくことは途中までできているので、こういう試合展開を続けていくしかない」と我慢比べは覚悟している様子だ。

「個々の力は相手が上とも思うが、組織力で(サハリンを)止めたい。横方向に大きく振られるパスなどでは失点していないので、戦術を再確認して組織で動けば対抗できると思います」。

 

攻めの面では、もう後がないことを積極性に変えていってもらいたい。

釧路での2試合ではシュートが単発に終わることが多く、プレッシャーをなかなか相手GKにかけることができなかった感がある。

守りの意識が高い分、なかなか攻めに人数を割けないという状況ではあるが、要所ではリスクを負ってでも攻めに厚みを持たせて得点へと繋げていきたい。

上野拓紀キャプテンが第2戦後に「第1戦では、それまで通りの感覚で行ったら、(リーチのある)相手のスティックなどに引っかけられて手こずりましたけれども、今日は試合の入りも良かったし、その感覚も戻ってきて『行けるな』という感じはありました」と試合勘やスピードはサハリン相手でも十分に戦えるという手応えを語ってくれたように、相手にアジャストして対応策を組めるのがクレインズの強み。そこが出れば、一気に流れを変える可能性もある。

 

小林監督はサハリンにも駆けつけるという報道陣に向けて「一緒に頑張りましょう!」と声をかけて、インタビューを締めくくった。その目にはまだ光が残っていた。