クレインズ、北の地で力尽く。サハリンがアジア初制覇~3/14アジアリーグ・プレーオフファイナル第3戦レポート①
Text&Photo by 関谷智紀
サハリン 4(0-0,0-2,3-1、OVT1-0)3 日本製紙クレインズ
シュート数:サハリン47(11-4,11-15,16-6,9-8)33クレインズ
得点経過及びアシスト:
第1ピリオド なし
第2ピリオド 15:05 クレインズ1-0 G29 加藤 A91中島 92池田
19:58 クレインズ2-0 G 91 中島 A77 梁取 9髙木
第3ピリオド 0:33 クレインズ3-0 G18 重野 A21鈴木
0:54 サハリン 1-3 G 97 YUSHKOV A22 91
11:44 サハリン 2-3 G17 KOVALEV A71 81
19:04 サハリン 3-3 G91 SURSOV A22 55 ※6人攻撃成功
オーバータイム
19:11 サハリン 4-3 G55 ZATSEPILIN A69 75
→サハリンがファイナル通算成績を3勝無敗とし、アジアリーグ初優勝
■「負けたら終わり」の戦いに臨んだクレインズの面々
日本製紙クレインズが、アウエーの地、ロシア・ユジノサハリンスクに乗り込んでのファイナル第3戦。すでにサハリンがチャンピオンまでにあと1勝と王手をかけており、クレインズにとってはこの木曜の試合に勝った上で、土日の試合も全部奪わなければならない厳しい状況だった。
オープニングでは、カラフルな光線が投影されるなか、サハリンのスターティング6が発表されると会場の興奮は一気に上昇。まるでロックのコンサートのような大音響での演出で、地元での優勝を、と後押しする。
しかし、そんなアウエーの不利な雰囲気でありながらも、クレインズは試合序盤から落ち着いて試合を展開。しっかり守って、逆襲のスキを伺うという狙い通り、相手のシュートにさらされながらも、GK1マッキンタイアを中心にゴール前を固めてしっかり守り、徐々にサハリンの攻撃の勢いを削いでいく。
14分過ぎに味方の反則で1人少なくなったショートハンドの時も、クレインズはDF29加藤槙之助が身体をなげうってシュートを止めるなど、気迫のこもったプレーが随所に見られ、リズムはだんだんとクレインズのものに。
堅い守りがお互いに光るかたちで、0-0のまま第1ピリオドは終了した。
■今シリーズ最高の出来。クレインズが待望のリードを奪う
第2ピリオド開始直後にもショートハンドの状況をしのいだクレインズは、徐々に攻撃へとシフト。選手1人1人の運動量が上がり、パックに対しての反応がサハリンを上回る場面が徐々に増えてきた。
そして迎えた15分すぎ。クレインズは自陣での組み立てからリンク中央へタイミング良く走りこんだFW91中島章吾にパスが渡ると、中島はゴールへ向けて一気に疾走。FW92池田一騎とのパス交換で完全に相手のDFを崩し、ゴール裏左マイナス45度の角度から中島がGKの背中に当てて入れるシュートを狙う。
そのシュートは外れたものの、その後右のフェンスでバウンドしたパックをブルーライン付近で待ち構えていた加藤がワンタイマーで思い切りよくスティックを一閃。放たれたパックはGKの右肩上を抜き、ゴール左上スミを捉えた。
待望の先制点は加藤のアジアリーグ初ゴール。それが、この大事な試合で飛び出した。
そのまま、リードをキープしながら第2ピリオドを終えたいクレインズだったが、終了間際19:41にもらったパワープレーでのファーストプレーで素晴らしいシュートが飛び出す。
ゴール右側アタッキングゾーンのフェイスオフから、FW36高見翼人がパックをキープして、FW18重野駿佑が繋ぎ、右フェンス際のFW9髙木健太へ。そしてパックを逆サイドのDF77梁取慎也へ大きく展開すると最後は残り2秒で中島が狙い澄ましてシュート。そのパックが見事にゴールを捉えた。
クレインズは第2ピリオド終了間際という時間帯で追加点を奪い、2-0とリード。
ベンチからドレッシングルームに戻る選手達の足取りも軽快なように見えた。
■カウンターから3点目。逆転優勝への可能性をつかむゴール
クレインズの勢いは第3ピリオドに入っても止まらなかった。
開始直後に一気にラッシュをかけてきたサハリンの猛攻をしのぐと、FW21鈴木健斗と重野の2人がカウンター気味に一気に相手ゴール前へ。最後はゴール左から重野が押し込んで、3-0とリードをさらに広げる。
この日のクレインズは「守りで耐え、一気に逆襲し攻勢をかける」という狙い通りの展開に持ち込んで動きも非常に良かった。『これでまずは1つ白星を手にして、週末の試合へとコマを進められる』。会場のファンも、釧路で見守るファンも、その多くが思ったことだろう。