アイスホッケー&アイスクロス情報新Webサイト準備室

【4/28開幕! 世界選手権Div-IBに臨む日本代表を現地密着取材中!】日本とアジアのアイスホッケー、アイスクロスの選手を、男子・女子・パラのオールジャンルで応援していくWebサイト。その準備室です。2019年9月オープン予定

【男子日本代表応援!】頑張れ日本!!~「あの選手」からの応援メッセージ!

さあ、あと6時間ほど(日本時間4/28 19:00~)でIIHFアイスホッケー世界選手権Div-IBの初戦、日本対ウクライナが始まります!

連日、男子日本代表応援の情報を流している当サイトですが、な・な・なんと、とんでもない方から「ぜひ僕からも応援メッセージを掲載させてほしい」、というオファーが来ました(゜o゜; オドロキ

 

そのお方は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日光アイスバックス所属のゴールキーパー福藤豊選手です!!!

 

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福藤豊選手

 

言わずと知れた日本を代表する守護神、日本人初のNHLプレイヤー。何度も日本代表に選ばれている福藤豊選手ですが、今大会は2月のアジアリーグの最終節で負傷してしまったことで今回の代表ではメンバーに入っていません。

 

そんな福藤選手から、日本代表メンバーへの応援メッセージを預かりました。

福藤選手も毎試合映像を見て日本から応援するそうです! 私たちファンもぜひ一緒に日本代表の快進撃を信じて、ともに応援しましょう!

 

 福藤豊選手から日本代表へ向けて応援メッセージ

日光アイスバックス福藤豊です。

まもなくアイスホッケー男子世界選手権Div-IBの戦いが始まります。

ぜひみなさん、アイスホッケー男子日本代表へそれぞれが出来る形で応援をして行きましょう! ぜひぜひ代表への応援をお願いします!!

 

日本代表で戦うことは、仲間ともに戦ってみて初めて感じることのできる特別な何かがあると思います。ケガで今回それがかなわなかったことは悔しいですし、本当に残念です。

みんなと一緒に、エストニアで戦ってみたかった。

それだけに、今回代表に選ばれた選手のみんなには、本当に頑張って欲しいし、ぜひ勝ち続けて優勝を手にして欲しいと、日本から応援の念を送っています。

 

今回代表のゴールキーパーに選ばれたのは伊藤優人選手、小野田拓人選手、畑享和選手の3人です。アジアリーグでいつも対戦しているし、オフには一緒に練習もしたりしているのでのでよーーく分かっているのですが、本当にみんなゴールキーパーとしてのスキルが高くて、安心して日本の守りを託せる選手ばかりです。

 

それから、バックスを引っ張ってくれている齋藤哲也選手が代表でもキャプテンを務めてくれています。哲也選手ならアイスバックスにいたときも含めて長く岩本監督のもとでプレーをしていましたし、裕司さんがやりたいホッケーも十分に理解していると思いますので、きっと良い結果をもたらしてくれると思います。

それから彼はいつも色んな選手に対してとても細やかに気配りや目配りをしてくれていて、頼りになる男です。そのコミュニケーション力が若手の力をどんどん引き出してくれると思います。

 

それから、代表でずっと一緒に戦ってきた田中豪選手にも、ぜひ頑張って欲しいと思います。

豪は「どんなときでも一緒に戦いたい」と思える選手です。

代表ではここ数年良い結果が出ずに苦しい時が続いていましたが、そんな時でもずっと代表を支えてきました。メンタルの浮き沈みがない選手で、毎日変わらずにやるべきことにしっかり取り組めるところが本当に凄い選手だなと思いますし、年下ですが尊敬しています。

ぜひ、豪らしく世界を相手に戦ってきて欲しいと思います。

 

それから今回、海外でプレーしている選手が何人も代表に選ばれていますが、彼らが新しい代表を支える存在となってくれると思います。

他にも全選手にエールを送りたいのですが、長くなってしまうので……すみません。

 

 

今回こうやって日本から応援する側に回って、代表で戦うことに大きな誇りとなっている自分がいることに気づきました。

今回代表に参加している選手達も僕と同じかそれ以上に、代表に誇りを持ってプレーしているメンバーばかりだと思います。誰もがこの大会で結果を出すことで「もっともっと日本のアイスホッケーを盛り上げていきたい」、という気持ちを持って戦ってくれています。

 

日本代表の勝利を心から願っています。

全国のアイスホッケーファンの皆さん、一丸となって日本代表を応援し、支えて下さい!!

 

【男子代表応援!】世界選手権ディビジョンI-B展望

 

バランスよくベテランと若手をミックス。新生日本代表の攻撃力を示せるか?

~世界選手権ディビジョンI-B展望~

<Text&Photo:関谷智紀(ライター/IH新サイト準備室代表)>

 

4/28にエストニアの首都・タリンで開幕するIIHFアイスホッケー世界選手権ディビジョンIグループB(以下Div-IBで表記)。

 

岩本裕司監督率いる男子日本代表の目標は、完全にはっきりしている。

『優勝してディビジョンIグループAへと舞い戻る』ことだ。

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選手の動きを見守る岩本監督(画面中央)。

このグループでは力が1段上、ということを証明する戦い

日本が世界選手権全体のうち3部にあたるDiv-IBで戦うことは、過去の戦績から言っても不本意であることは間違いないだろう。2016年のポーランド・カトヴィツェ大会で最下位降格という屈辱の結果を味わってからDiv-IBでの戦いは今回で3回目。もうここで戦うのは最後にしないといけない。

この大会は驚くべきことにまだ各国のロースターが発表されておらず(IIHFのサイトにて)、ある国が突然NHL級の選手を登録してくるといった可能性もあるが、個々の実力的には日本が1歩リードしていると見る。 

「最近は各国の差が詰まってきて、勢いに乗れば優勝できるが、1つ歯車が狂えば降格もありうる(岩本監督)」という厳しい戦いではあるが、選手達は一様に口を揃えて、「日本のアイスホッケー界に明るい話題を届ける! そのために絶対に今大会で昇格する」という強い思いで戦っている。

 

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チームキャプテンの齋藤哲也選手(左から2人目)のもと結束力も高まった。

その思いが成就する瞬間をぜひ日本全国のアイスホッケーファンの皆さんと共有したい。

最終日のポーランド戦が優勝への大一番

世界選手権ディビジョンIグループBの大会形式は、以下の6カ国で行われる総当たりリーグ戦。優勝するためには敗けは運が良くても1つまでしか許されない、というようなフォーマットだ。

大会前の段階では、全部の相手に勝って優勝することに照準を合わせ戦う覚悟を決めるしかない。

(※勝ち点方式などは日本の状況にあわせて追って説明の記事を上げる予定です)

 

参加国は世界ランク順にならべると

ポーランド(21)

日本(23)

ウクライナ(24)

エストニア(26)

オランダ(28)

ルーマニア(29)

 

日本の試合日程は(※時間は現地時間)

4/28 13:00 日本 対ウクライナ

4/29 13:00 日本 対ルーマニア

  (休養日)

5/1 16:30 日本 対エストニア

5/2 13:00 日本 対オランダ

  (休養日)

5/4 16:30 日本 対ポーランド

となる。

 

Div-IAから降格してきたポーランドがやはり最大のライバルで、大会最終日に直接対決が組まれているが、『そこで勝った方が優勝』というシチュエーションにぜひ持っていきたいところだ。

 

また、大会初日のウクライナも難敵。過去には1つ上のDiv-IAで常にしのぎを削った相手でもあり、過去の対戦では……

2018世界選手権Div-IB     日本7-1ウクライナ

2016ピョンチャン五輪2次予選 日本2-1ウクライナ

※2016~2017 世界選手権での対戦はなし

2015世界選手権Div-IA     日本3-1ウクライナ

2014世界選手権Div-IA     日本3-2ウクライナ

 

ウクライナは身体が大きな選手が多く、シュート力もあり侮れない。

3連敗で意気消沈したウクライナと大会最終日で当たった昨年のDiv-IB以外は常に激戦となっており、日本は慎重に初戦に臨む必要がある。

このウクライナ戦でしっかりと勝つことで勢いが付けば、一気に連勝街道を突き進んで最終日を迎えることができるだろう。

岩本監督が自信を持って招集したメンバーの意地に期待 

今回の日本代表は、アジアリーグ・国内勢からは齋藤哲也キャプテンをはじめ河合龍一、田中豪、篠原享太などといったベテラン勢。橋本僚、橋場亮、佐藤大などの中堅、そして中屋敷侑史、簑島圭吾など若い選手がバランス良く選ばれている。

それに加えて、日本人として福藤豊以来2人目、FWとしては初のAHLプレイヤーとなった平野裕志朗アメリNCAA1部の大学に所属する三浦優希佐藤航平アメリ独立リーグでプレーする小坂丈と4人の海外組が加わり、非常に新鮮なメンバー構成となっている。

フィンランド・ビエルマキでの事前合宿では、メンバー同士でのコミュニケーションが深まって、『絶対に優勝する』という意思で全員が同じ方向を目指すことを確認し合った。

 

このメンバーでDiv-IB優勝そしてIA昇格ができれば、間違いなくこの男子日本代表が日本アイスホッケー界復活のシンボルとなる。

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ウクライナ戦の先発GKとしての起用が予想される畑享和選手(写真右)。

日本のファンへ明るい話題を届ける!  ために

そして、僕らファンや国内の選手、ホッケーに携わる多くの人たちが“令和の時代には日本のアイスホッケー界がきっともっと良くなる”、という思いを持てるきっかけになるに違いない。

ぜひ、男子日本代表には全勝での優勝を果たしてもらいたい。

 

【IH男子日本代表応援特設】フィンランド・ビエルマキ合宿VIDEO

IIHFアイスホッケー世界選手権Div-IB 4/28(日)いよいよ開幕!

日本代表の事前合宿の模様を、映像でまとめました。

優勝&昇格目指す男子日本代表へぜひ日本から熱い声援を!

 

#アイスホッケー日本代表 #teamjapan #スマイルジャパン


アイスホッケー男子日本代表 2019フィンランド・ビエルマキ合宿

#2019WoldMenIB

 

【今日から男子日本代表応援特設!】キーワードは「FAST HOCKEY」。日本のホッケーを貫き、絶対に優勝します!  ~岩本裕司監督に聞く~

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世界選手権Div-IBはエストニアで4/28に開幕


キーワードは「FAST HOCKEY」。日本のアイスホッケーを貫き、絶対に優勝します!

 ~岩本裕司・男子日本代表監督に聞く~

 

Text&Photo:関谷智紀(Tomoki Sekiya/アイスホッケー&アイスクロス新サイト準備室代表)

 

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岩本監督(中央)。コミュニケーションを重視してチーム力底上げをはかる

 

DivI-B優勝で昇格、そしてアジアNo.1の座を奪還へ。

世界選手権Div-IBが行われるエストニアで、いよいよ新生・日本代表が躍動するときが来た。

チームを率いる岩本裕司監督にとっては、2回目となる世界選手権。2位だった昨年大会の結果をふまえた上で、新生・男子日本代表がどのような意図を持って、優勝へ向けてどのような戦いで勝利を勝ち取って行くのか? 大会を前に、事前合宿の地フィンランド・ビエルマキで展望を聞いた。

 

 

成就なるか!? ベテランと若手。アジアリーグ勢と海外組の融合

 

日本代表のスローガンとして岩本監督が大きく掲げるのは「ファストホッケー(FAST HOCKEY)」だ。

日本選手の利点であるスケーティングの速さと上手さ、そして試合が終わる瞬間まで手を抜かず勤勉に走りきる、という特徴を生かしたうえで、アメリカのプロリーグで揉まれてきた平野選手をはじめとする海外勢の決定力、シュート力を加えることで日本代表に1段階上がった強さの次元を加えようというのがその真意だ。

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選手達の動きを入念にチェックする

 

代表合宿が4/18にスタートしたときも岩本監督の表情は柔和だった。

男子日本代表はフィンランドナショナルチームもここで練習しているというリンクで、じっくり6日間。チーム戦術の浸透と選手同士の意識のすり合わせ、融合を図った。

「だいぶ良い形で、戦術の理解も選手同士のコミュニケーションも深まっていると思います。国内組と海外組が上手く融合できれば、そして日本が目指す自分たちのホッケーができれば絶対に負けない。そんな手応えを感じています」(以下、特に記述のないカギカッコは岩本監督のコメント)

 

「ここはホッケーに完全に集中できる環境で、宿泊面だけでなくリンクやロッカールームもフィンランド連盟の協力を得てとても練習しやすい状況になっています。チームのテンションもだいぶ上がっています」。

 

実際に氷上練習を見ていると、徐々にではあるがベテラン勢と若手の息が合い、こんなパスの組み立てから点が取れるのか! と驚かされるようなパターンでの得点も増えてきた。

そういう意味では着実に日本代表は進化している。

 

何が飛び出すか? 期待にあふれるメンバー構成

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若手の台頭のせいか、ゴール前での攻防もより激しくなっているように見える

今回は昨年大会のメンバーと比べて、FWが6名、DFが1名、GKは3人全員が入れ替わった上に海外組4人が入り、大きく変わった。監督がメンバー構成を大胆に組み替えた理由はなんだろうか? 今回このようなメンバー構成になったことについては、

「若返りを図りつつ、パスの精度をはじめとする技術力のあるベテランの良いところも継承しようという狙い」と監督は語る。

パスは回せるがシュートに行く勇気が無い、あるいは、打つべき時になぜかパスを選択してしまう、というのが日本代表が得点力不足に陥る原因だとはさんざん指摘されてきた。しかし、守り重視の戦いを余儀なくされるなかで、その問題はなかば手つかずの状態で放置されていたともいえる。

アジアリーグ勢をはじめとする国内組のクリエイティブで細かいホッケーと、海外組のフィジカルでアグレッシブなプレースタイル。これを高いレベルでミックスできれば、日本が掲げている『ファストホッケー(FAST HOCKEY)』というスタイルに繋がっていくと信じて取り組んでいます。若い選手(の状態)を上げていくのは私たちスタッフとベテランの仕事ですから、そこに注力しつつチーム全体の力を上げていきたい」。

岩本監督は、長年の日本の課題にメスを入れたといえるのかもしれない。その手術が成功するか否かは、この大会で分かる。

気になる海外勢。その特徴は? 

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平野裕志朗(白)の活躍が日本の命運を左右するかも知れない

では攻めのキーマンとなるであろう海外組はどんな選手がいるのか? 監督に彼ら海外組の印象を聞いてみた。実際にアメリカから直接この合宿に合流した選手もおり、監督自身もプレーを直に見るのは久々という選手もいたが……。まずは日本のファンも大注目、日本人でFWでは初となるAHL出場※を果たした平野裕志朗選手について。

(※AHLはNHL直下の2部にあたる存在のリーグ。日本人ではGK福藤豊選手しかプレー経験者がいなかった)

「平野はシュートの強さがクローズアップされがちですが、シュート精度もこのメンバーの中では飛び抜けていると感じました。彼が1点を入れてくれれば必ず流れが良くなるので、そういったプレーを期待しています。AHLに上がった経験をぜひここでも生かしてほしい」。

平野は明らかにアジアリーグでプレーしていた時よりスケールアップして代表に戻ってきた。相手に当たられても体幹の軸がブレず、厳しい体勢からも強いシュートをゴールの隅に飛ばしていくシーンが幾度もあった。GKの小野田拓人も彼の成長を証言する。

アジアリーグのどの選手よりも彼のシュートは速い。ロシアのサハリンや韓国チームの外人助っ人を含めても、です。まだ練習でこの速さですから、試合になったらもっと強いシュートが出ると思うので、そういう選手が仲間に居ると思うと心強いですね」(小野田)。

平野は今回間違いなく核となる選手となるはずだ。

 

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三浦優希(白)。大学では今季苦しんだが、その壁を突き抜けた印象も。爆発できるか?

続いて三浦優希選手について。監督は彼をどう捉えているのか?

「三浦は平野とはまったくタイプが違いますが、非常に期待しています。クリエイティブなパスを供給できるし、自分が不利な体勢に追い込まれても味方を生かせるプレーが出来る。昨年の大会でも、ここで1点が欲しいところで彼のアシストが出てチームを救ったこともある。そういうプレーをぜひエストニアでも見せて欲しい」。

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佐藤航平は、守りもしっかり出来る選手へと大学での戦いで進化を遂げている

三浦選手と同じくNCAAの1部でプレーする佐藤航平については

「彼はスケーティングにスピードがあり、身体を張ったプレーもできます。その特徴を生かしてチェッキングラインに入れました。大きな海外選手にもひるまずガンガン前へ前へとチェックに行って流れを呼び込むプレーができる。そのプレーでチームに勢いをもたらして欲しい」。

 

「サプライズ選出」の小坂丈。監督が彼を抜擢した意図とは?

そして今回ある意味サプライズで招集されたのが、アメリカの独立リーグSPHLでプレーする小坂丈だ。東部ノースカロライナ州のチームに所属して単身、腕を磨いてきた小坂選手だが、監督は3年ほど前から彼に注目していたという。

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まだあどけない印象すら受ける小坂丈だが、スケールの大きさには将来性を感じる

「技術的にはまだまだの部分がありますが、海外選手に引けを取らない身体の強さ、大きさ、そしてゴールに向かって突き進むプレーを買って招集しました。(小坂選手の加入は)彼にとってもチャンスだと思うし、代表にとっても新しいスタイルを生み出すチャンスだと思っています」。

 

彼ら海外組が入ることで戦術も大きく変わることが予測できる。

海外選手に対しても力負けせず、パスを繋ぐ拠点となれる選手が各セットに配置できるため、パックを相手陣内に放り込んでからスピード勝負でパックを奪いに行くダンプ&チェイスの戦術から脱却し、ブルーライン付近で相手ゾーンへ進入しながらパスで相手DFを翻弄するスタイルへの転換を日本は模索できている。

監督が目指すその形が上手くでき上がれば、それは単にI-BからI-Aへと上がるだけではなく、日本がその先トップディビジョンを見据えて世界の強豪と互して戦うための大きな武器を手に入れることとなるからだ。

「今大会はかならず優勝して次のステップへ進まなければいけない大会だと思っています。そのためにこの合宿でチームのコンビネーションを高めていきます」(監督)

 

新時代は俺たちが創る! 日本代表の誰もがその気概に満ちている

今回、合宿地では対外試合が行われる予定だったが、相手の都合が付かず残念ながらキャンセルとなった。その影響は少々気がかりで、アジアリーグ勢は特に試合から離れており試合勘を取り戻すのは実戦の場となりそうだ。

フィンランドで練習試合ができなかったのは確かに痛いです。ただ自分たちが試合を組み立てるなかで相手のゾーンへ入っていくようなプレーは、日本で行われた壮行試合の韓国戦でもできていた。ウクライナ戦の序盤はまずは我慢です。しっかり守って各選手が勘を取り戻していき、第2ピリオドあたりから、自分たちらしい、日本らしいホッケーを展開していきたい」

 

4/24に合宿は無事打ち上げ。監督も「合宿を振り返れば80点。大きなケガ人もなく非常に中身の濃い練習ができた。スピードもキレも出てきましたし、全体的には良い仕上がりだと思います」とひとまず安堵する。
GKについても「3人のうち誰が出てもまったく心配ないレベルまで春名コーチがしっかり見て、引き上げてくれた」と監督はいう。

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ほぼ予定通りの内容で合宿を終えた日本代表は4/25にエストニア入り

 

「海外組の選手達も非常に素直で、いま日本が取り組んでいるホッケーを吸収しようとの意識がとても高いうえに、ゴール前での1対1の強さなどを逆にチームに浸透させてくれていると感じています。海外組が合流したことで、チームが一段階ステップを上がったことは確かです」

 

『進化した日本代表の力』が試されるまであと2日。

強さを証明できるその瞬間まで、日本代表は静かにその時を待つ。

 

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<準備室サイト代表:関谷より>

アイスホッケーファンの皆様こんにちは。新サイト準備室代表の関谷智紀です。いよいよアイスホッケー世界選手権Div-IB@エストニア・タリンに向けてのカウントダウンに入りました。

4/28 13:30(日本時間19:30)の対ウクライナ戦から日本代表は5試合総当たりのリーグ戦で優勝を目指します。

私どもでは、今年9月にサイトオープンを予定していますが、先日の女子日本代表スマイルジャパンに引き続いて、男子日本代表の世界選手権の戦いもできる限りカバーして行きたいと思っており、本日から当ブログでの記事配信をスタートしました。Facebookでの配信(fb.me/WebsiteoficeHockeyandIceCross)ともども、ぜひごらんください。

(とはいえ、URLがU-18 の時と一緒なのはナイショ(^x^)……)

日本のアイスホッケー界は、昨年からさらなる危機的状況が押し寄せているように見えますが……。

いっぽう東北海道クレインズアジアリーグ加入が内定したり、男子U-18が優勝し昇格したり、女子スマイルジャパンが次の五輪へのステップを1歩進めたり、福藤豊選手以来日本人2人目のNHLプレイヤー誕生も間近か、と思わせるほど海外での若者達の活躍がめざましかったりと、明るい材料も非常に多くなっています。

そのなかでも、やはり男子日本代表が活躍すればもっとアイスホッケー界の未来に明るい光がともるのは間違いありません。 

そういうわけで、今回は(も)、男子日本代表を当サイトでは徹底応援します!!

ぜひアイスホッケー日本代表への応援、皆様の気持ちを結集させましょう。選手達にもその声はちゃんと届いています。

日本アイスホッケーの可能性を信じて。共に戦いましょう。

 

(当サイトも応援していただければ幸いです。ここまであまり世間一般に出ることのなかったアイスホッケーの情報を、コアなファン以外の方々に知っていただくことを目的にしています。さらに近い将来、私どもが目指すのは、日本のみならずアジアパシフィックのアイスホッケー、アイスクロス情報をカバーするサイトです)

 

 

 

 

 

 

日本、劇的逆転勝利! スウェーデン下しトップディビジョン残留確定~4/9IIHF女子アイスホッケー世界選手権トップディビジョン 対スウェーデン戦レポート

Text&Phot by Tomoki Sekiya

 

日本 3(0-1,1-0,2-1)2 スウェーデン

シュート数:日本15(2-9,7-14,6-7)30 スウェーデン

得点経過及びアシスト:

第1ピリオド 2:36 スウェーデン1-0 G27 NORDIN A16 WINBERG 20RASK

第2ピリオド 16:02 日本 1-1 G11米山 A12大澤

第3ピリオド 7:10 スウェーデン2-1 G4ENGSTROM  A26 OLSSON

       11:10 日本 2-2 G16 志賀(紅)A4床(亜) 21久保

       18:45 日本 3-2 G4 床(亜) A14床(秦)21久保

→グループB通算:日本2勝1敗 勝点⑥ スウェーデン1勝3敗(うちPS敗1)勝点④

 

■重苦しい展開を打ち破った、日本が誇る最高のコンビネーション

第2ピリオド16:02分ことだった。

パックを持ってリンク左サイドのボード際を、滑らかなスケーティングで12大澤ちほがパックを持って攻め上がった。相手のマークを振り切るやいなや狙い澄ましたパスをゴール前に送る。

そのパックは、ゴール前で待っていた10米山知奈のスティックブレードに吸い付くように引き寄せられ、パシッと乾いた音を立ててゴールへと送り込まれた。

大澤が送ったパスはタイミング、角度、スピードとも完璧。そして受ける米山の相手を振り切る動き、パスを受ける位置も完璧。

中高校生の時から何度も見てきた、最高のコンビによる完璧なコンビネーションで日本は1-1の同点に遂に追いつく。

 

ゴールが決まった瞬間、日本ベンチは全員が両手を突き上げて2人を祝福した。

 

絶対に避けたい、と誰もが思っていた開始直後での失点から33分を過ぎて日本はようやく追いつき、反撃が始まった。

 

■マイナス0.5秒。幻のゴール

 

スウェーデンは開始直後に自陣からの展開でFW3人対DF2人の状況を作り、日本GK1藤本那菜の守るゴールを陥れていた。

そのパスからゴールまでに至る流れはさすがの動きで、スウェーデン選手の持つ技術が遺憾なく発揮されていた。その後もスピードある動きでペースはスウェーデンに傾いていたが、米山のゴールからは日本ペースに試合が一気にひっくり返った。

スウエーデン選手の動きが落ち、逆に日本はリンクを縦横に駆け回って相手からパックを奪い取るシーンもしばしば。ゴールへのラッシュを繰り返し、相手GKを慌てさせた。

スウエーデン選手の動きに、焦りや不安が見て取れるようになったピリオド終盤には、左サイドのフェイスオフからDFへと繋ぎ、2小池詩織から21久保英恵、そしてゴール前の米山へとパスがつながり、米山が身体を反転させながらシュート。これがゴール左ポスト内側へと入ったように見えたが、ゴールラインをパックが通過した時は、惜しくもピリオド終了を知らせるブザーの0.5秒後だった。

日本選手は頭上のビジョン映像を見上げながら審判の判定を待つこととなったが、結果はゴールとは認められず。米山のこの日2点目は幻に。しかし、日本らしさが随所に発揮されたピリオド終盤に、逆転への期待は膨らんだ。

 

■膠着状態から、先に点を取ったのはスウェーデン

 

しかし、3分ほどかかったこのゴールジャッジの間に、スウェーデンはすでにドレッシングルームに引き上げていた。ピリオド間の休憩は16分取られていたが、スウェーデンは3分余計に対策を取る時間を得ていたことになる。

選手のメンタルにも翁影響があったに違いない。スウエーデンは第3ピリオドに入ると、前ピリオド終盤のバタバタしていた部分を見事に修正してきた。

 

7分過ぎに、スウェーデンはパスを繋いで日本のゾーンへと攻め込む。いったんは日本がパックを奪うも、ゴール裏でのバトルでスウェーデンはパックを奪い返すと、左サイドからENGSTROMがゴール前へパックを送る。そこに詰めていた選手が半ば強引にスティックをねじ込むような形でつつくような混戦のなか、GK藤本(那)の抑えようとしたパックが身体に当たったのかゴールへと流れてしまい、押し込まれたような形でゴールを許す。

これで再び1-2とリードを奪われてしまった日本。

残り13分で、これを取り返す。日本がトップディビジョンに残るためにはそのミッションを遂行するほか無かった。

 

■今大会「最高」のパワープレーを2つ続ける

その後、両チームとも最後の力を振り絞ってパックを追うが、段々とスウェーデンの動きが鈍ってきたように見て取れる。ルーズパックに対する反応は日本の方が半歩早く、スウェーデン選手は身体を使って日本の選手を押さえ込むことが出来なくなる。

10分にスウェーデンがペナルティ。そこで得たこの試合3つ目のパワープレーで日本は最高の仕事をやってのけた。

日本は練習通りの形を作って攻め続けると、左ボード際の久保からゴール正面にいた4床亜矢可に渡り、床(亜)が遠目の位置から強烈なシュート。それをゴール前にいた16志賀紅音がスティックで合わせると、パックはゆっくりとしたスピードで氷の上を滑走、ゴール左ポスト内側へと滑り込むように入っていった。

 

同点に追いついた日本は試合残り2分にもパワープレーのチャンスを得る。スウェーデンベンチ前で争ってパックを奪った床(亜)に対して、後ろから頭を小突くようなプレー。スウェーデン選手はペナルティーではないことを盛んに主張するも、後頭部へ打撃が入っており明らかにペナルティーだった。

 

そこで得たパワープレーで先ほどの得点劇を上回る完璧な形が飛び出す。

速いパス回しでスウェーデン選手4人をゴール前に釘付けにする。そして床(亜)が⇒フェイスオフスポット付近から狙い澄ましてシュート。そのシュートはゴール左スミのスペースを完璧に捉えた。

試合残り1分15秒で飛び出したこのゴールで遂に日本は勝利をぐいっとたぐり寄せた。

 

■最後まで走りきった日本。ピョンチャンに続きスウェーデンを撃破

 

残り1分を切り、6人攻撃に出てきたスウェーデンを日本は身体を張って止め、相手ゾーンに押しとどめる。最後の20秒はスウェーデンに何度か至近距離からシュートを浴びるが、GK藤本(那)をはじめディフェンスの集中力は途切れることなく、パックを右サイドに大きく弾いたところで終了のブザーが鳴り響く。

激闘を制し、日本は3-2でスウエーデンに勝利。目標だったトップディビジョン残留を果たした。

 

勝利の瞬間、ベンチでも選手達が両手を点に突き上げ、肩を組み合って喜び合う。スタッフも輪になって飛び跳ねる。このシーンは日本アイスホッケーの歴史に残る映像となったことは間違いない。

日本は最後まで諦めず走りきるという姿勢を貫き、最後は疲れた相手を動きで上回って試合を勝利へと導いた。その気持ち、そして第3ピリオドまで走りきれる体力を厳しいトレーニングに耐えて積み上げてきたことがこの結果を呼んだ。その選手達のここまでの努力に大きな敬意を表するほかはない。本当に素晴らしかった。

 

■歴史上初となるトップディビジョン陥落となったスウェーデン

 

日本は平昌オリンピックの順位決定戦に続いてスウェーデンを撃破した。いっぽうスウェーデンは史上初めて、トップディビジョンから2部に相当するディビジョンIグループAへと降格することになる。

あるスウェーデンの記者は、1936年のベルリンオリンピックの男子サッカーで日本が優勝候補のスウェーデンに勝った試合を引き合いにだし、それ以来の悲劇だ、というくらいのニュアンスでスウェーデンの敗戦を嘆いていた。それほどこの試合はアイスホッケーの歴史に刻まれる1戦だった。

 

◎日本は準々決勝進出。グループA1位のアメリカと10年ぶりに公式戦で対戦。ロシアも0-10と一蹴された世界最強のチームに全力でぶつかる。

 

 

<飯塚監督インタビュー>

――勝った方が残留の大事な試合に勝ちました

常に先行されている時間が多くて、それでも選手は集中を切らさずに足を止めずに動いてくれました。必ず最後に自分たちのそれがアドバンテージになるとミーティングでも伝えていたので、ファイトしてくれて勝ってくれて、それが試合を制する要因になったと思います。

出来ればリーグトップで通過したかったのですが、世界はそんなに簡単では無いと言うことも思い知らされましたが、選手達の底力や成長力も感じることができましたし、最後は彼女たちを信じて送り出すだけだったので選手達に感謝しています。

 

――日本アイスホッケー界にとっても大きな勝利です

選手達もオリンピックに出続けてそこでプレーする事、活躍し続けることを使命に感じてくれているのですが、今日はそれをプレッシャーに感じず堂々とプレーしてくれました。日本の今後の為にも良い結果を出してくれたと思っています。

2試合続けての惜敗。チェコの攻撃力に後手に回る~4/8IIHF女子アイスホッケー世界選手権トップディビジョン 対チェコ戦レポート

日本 1(0-2,0-0,1-1)3 チェコ

シュート数:日本12(3-7,4-10,5-10)27 チェコ

得点経過及びアシスト:

第1ピリオド 3:34 チェコ1-0 G10 KRIZOVA  A18 PEZLAROVA

              8:45 チェコ2-0 G26 PRIBYLOVA A5 KOLOWRATOVA 13MASKOVA

第2ピリオド なし

第3ピリオド 11:09 日本ペナルティーショット⇒Missed.

       13:32 日本 1-2 G21 久保

13:32  チェコ 3-1 G21 VANISOVA(エンプティーネット)

→グループB通算:日本1勝2敗 勝点③ チェコ3勝0敗 勝点⑨

 

■序盤に抱えた大きなハンデ

 

いきなりの衝撃だった。

開始3分で日本は1点を献上してしまう。日本が自陣でパックを繋ごうとしたバックパスに対してチェコの選手が猛然とラッシュ。そこから繋がれたゴール裏からのパスをPEZLAROVAがシュート。GK1藤本那菜はそれを一度は止めるもKRIZOVAにリバウンドを叩かれ、早い時間帯での先制点を許してしまう。

さらに8分過ぎには日本陣内でパスを綺麗に繋がれ、ゴール前にいたPRIBYLOVAがノートラップでシュート。日本のDFがチェコの攻撃陣の動きに対して後手を踏み、少しづつマークがずれての失点により日本は0-2と速くも劣勢に追い込まれてしまう。

この試合の第1ピリオドのシュート数は日本3に対してチェコは7。攻撃力に長けたチェコの勢いを止めることが出来なかった。

 

■逆襲のきっかけは、床秦留可の個人技から

しかし、そんな劣勢のなかでも徐々に日本は打開策を見いだす。

気持ちを入れ直して、ディフェンスを再構築することからチェコに対抗。徐々に決定的なピンチのシーンも減り、日本の攻撃の形も出るようになってきた。

第1ピリオド終了間際には、センターサークル付近で14床秦留可が相手DFのパックを奪いブレイクアウェイ。GKと1対1の状況から右へと巻き込んでのシュートを狙うが、わずかにパックはゴールポストの右外側へと流れゴールならず。

第2ピリオドに入ると日本は普段通りの動きに近いパフォーマンスを披露。ほぼ互角の展開にまで流れを引き戻した。

何度かあったピンチもDFとGKの連携でしっかりと対応ができていた。

攻撃でも、相手の選手に対してしつこく絡むプレーができるようになり、そこから何度かのチャンスを作り出せるように。徐々にではあるが、日本が得点を奪えそうな雰囲気がリンクに漂い始めた。しかしながら、第2ピリオド中に1点を返すことはかなわず。勝負は第2ピリオドへと持ち込まれた。

 

■攻勢からペナルティーショット(PS)を獲得。

第3ピリオド。良い形を作るものの、日本はなかなか得点を奪えずピリオドも半分を過ぎる展開。その中から11分に日本がチャンスを迎える。

8細山田茜がシュートしたパックが弾けたところを14床秦留可がフォロー。GKがそのパックを抑えきれず、ゴールラインを通過するか否かのところで、相手選手がゴールクリーズのなかにはいつくばって、パックを手で掻き出した。

これがゴールに繋がるプレーを故意に止めたとして、日本にペナルティーショットが与えられる判定に。

 

ペナルティーショットのシューターを務めるのは21久保英恵。久保はゆっくりとした動きから、ゴール前でパックを大きく右に動かしてGKの右から巻き込んでのシュートを狙ったが、チェコGKのPESLAROVAの左足が伸びてきてパックの半分だけがレガースに当たった。このトライは残念ながらノーゴールに終わり日本は仕切り直しを余儀なくされた。

 

■追撃も、時間が足りず

それでも諦めず、攻撃の手を緩めない日本は13分過ぎにパワープレーでようやくの得点をあげる。

ゴール裏に回り込んだ床(秦)からのパスに合わせてゴール前の11三浦芽依がシュート。これは防がれるもゴール正面に大きく流れたリバウンドを遠目の位置から久保がシュート。狙い澄ましたシュートは、見事にゴール左スミを捉えた。

これで1-2と追撃の得点を挙げた日本。あとは残り6分半という時間のなかで追いつけるかどうかに全てがかかる。

 

その後も攻め続ける日本だが時間は容赦なく過ぎ、残り2分を切って日本はGKをあげての6人攻撃に出るが、相手ゴール裏でパックをVANISOVAに奪われると、彼女にそれをするするっとDFを交わしながら日本ゴールまで持ち上がられて無人のゴールにパックを流し込まれてしまい万事休す。最後の最後に相手選手の高い個人技に交わされ、日本は1-3での敗戦を余儀なくされた。

 

■急成長のチェコ。北米留学組が攻撃力を底上げ

チェコはピョンチャン五輪には出場しておらず、やや日本とは差があるとも思われていたが今回はかなり攻め込まれる場面が頻発し、急激にチェコが成長していることはありありと感じられた。

その理由は、チェコの若い選手の多くが北米のリーグや大学へ積極的に留学していることにもある。北米流のハードなチェックにも慣れている上に速いスピードにも対応出来るなどその環境で戦うことで、短期間で実力を上げてきた格好だ。

今後も彼女たちは、より進化することが見込まれるので、日本もそれに対応する方策を早めに見つけ無ければならない、そんな段階に来ている。

2月に帯広で行われたU-18女子世界選手権でも、日本はチェコとの争いに敗れて降格を余儀なくされており、これからもライバル関係は続いていくだろう。

 

◎日本は4/8、3試合が終わった時点で勝点3の4位。

次のスウェーデン戦で勝てば、グループ3位で決勝トーナメント進出となり、準々決勝ではA組1位と対戦する。グループB2位以上の可能性はなくなった。

 

チェコ戦後の飯塚監督インタビュー>

――悔しい敗戦ですが?

パック際の争い、1対1、シュート力……、全てにおいて相手が上回っていたと思います。

チェコは強かったですね。シュート数の差にもそれが表れたと思います。

――勝敗を分けたのは?

第1ピリオド、5人対5人のイーブンの状態で2点を先制されてしまったこと。

そのあと50分間は点数を許しませんでしたが、攻撃でシュートまでにいたる崩す動きが出来なかった。1対1のバトルであったり、ルーズパックの争いなどで相手がかなり上回っていたのが、試合を制することが出来なかった要因と思います。

チェコは2点を先制してから、リスクを背負わないホッケーに切り替えてきていた。日本自陣の深いところで展開されて、付け込むスキが作れなかったですね。

――開始直後の失点が重かった

もっとシンプルにプレーしていても、とは思うが、そこは選手の判断。リバウンドが上手く処理できていればこのような展開にはならなかったとは思います。

いたる所で、相手の読みとプレッシャーのかけ方などはチェコが上回っていました。

――攻撃では特に第3ピリオドに良いプレーがありました

PSを奪ったときのような相手の陣形を崩すプレーが試合序盤からコンスタントにできていたら、という部分は反省点。相手の運動量が落ちてきた第3ピリオドからではなく、序盤からそういった崩すプレーを出せるようにしたい。

――次戦スウェーデンに勝てば準々決勝進出できます

スウェーデンとは勝った方が残留確定、という条件なので全てを出し切るつもりで明日、頑張ります。

選手達もその状況はしっかり分かっていますし、グループリーグの最後はしっかりと勝ちたいと思います。

 

<追撃の得点を決めた久保選手>

――試合の感想を

もっと早めに点数を決めて自分達のペースに持っていかないと、苦しくなってしまうという試合でした。過去2戦もそうですが、アタッキングゾーンでプレーする時間が長いのに点数が取れていないことがペースを日本に持って来れていない理由だと思います。

パワープレーなどスペシャルプレーの時に確実にチャンスを決めて行きたいと思います。

――PSはごくわずかの差でした

完璧にキーパーを振り切れると思ったのですが、相手キーパーが着いてきたので、残念です

――ゴールについては?

やはりもっと早く決めていればまた違った展開だったと思います

――スウェーデン戦に向けては?

60分間、自分たちのプレーを100%出せるように準備していきます。

 

<ゲームベストプレイヤー 床秦留可選手>

――ブレイクアウェイでGKと1対1になるシーンがありました

決めなければいけないところだったので、そこは反省かな、と思います

――スウェーデン戦に向けては?

明日はスタートからタフな試合になるとは思いますが、60分間ハードに戦っていきたいですし、チャンスは絶対に決めて行きたいと思います。

相譲らぬ激戦に。勝負の綾を掴んだのは日か独か?~4/6IIHF女子アイスホッケー世界選手権トップディビジョン 対ドイツ戦レポート

Text&Photo by Tomoki Sekiya

日本 4(0-1,0-0,2-2)3 ドイツ

シュート数:日本41(7-5,22-2,12-11)18 ドイツ

得点経過及びアシスト:

第1ピリオド 10:51 ドイツ1-0 G12 FIEGERT  A8 ZORN 19 SPIELBERGER

第2ピリオド なし

第3ピリオド 6:07 ドイツ2-0 G34 HAIDER  A25 KLUGE 12 FIEGERT

       7:49 日本 1-2 G12 大澤 A18高 13藤本(も)

       8:00 日本 2-2 G21 久保 A14床(秦)

       16:55 ドイツ 2-3 G22 DELABRE A8 ZORN 19SPIELBURGER

→グループB通算:日本1勝1敗 勝点③ ドイツ2勝(うちPS勝1)0敗 勝点⑤

 

■ショートハンドから先制点を許し、攻めあぐねる日本

試合が一気に動き出したのは、第3ピリオドも6分を過ぎて試合終盤に差し掛かったところだった。

 

そこまでも日本は苦しんでいた。

第1ピリオドにドイツがパワープレーで奪った1点が、残り14分というこの状況でも重くのしかかる。圧倒的に日本が攻め込んでいるのだが、シュートの雨をドイツGKの30HARSSにことごとく跳ね返されていた。

HARSSは身長175cmと長身で、バタフライセーブの体勢を取ろうものなら、ゴールの下部1/3がすべて覆われているような錯覚にすら陥るほど。そんな彼女に対して日本はシュートを打ってはいるものの、直線的な動きが多く攻めあぐねていた。

 

さらにドイツ選手の突破に対してそれを止めようとスティックで引っかけたという判定で日本にペナルティが宣告され、この試合3回目となるプレイヤーが1人少ないショートハンドの状況に陥る。ドイツに取っては3度目のパワープレーとなったこの時間帯、日本はゴール前での競り合いでポジションを取られ、シュートのリバウンドを叩かれて0-2とされる。

第3ピリオド6:07の時点で日本は2点のビハインド。

ますます苦しい状況に追い込まれてしまった。

 

■日本のエースが揃い踏み! 0-2から11秒で日本が電光石火の同点劇!!

 

その窮地を救ったのは、そんな状況でも諦めずに前へ前へと進んでいく日本FWの頑張りにあった。

日本のストロングポイントは、第3ピリオドになっても衰えないスケーティングと諦めないその気持ちだが、7分すぎにその頑張りが実を結ぶ。

 

右サイドから13藤本もえこが打ったシュートに対応しようとしたGKの目の前を9関夏菜美が横切ってブラインドにし、GKが抑えきれず大きく弾いたパックを18高涼風がシュート。さらにそのリバウンドを12大澤ちほが叩いて、遂に同点とする。

選手がしっかり走ってゴール前にラッシュすることでHARSSの持っていた扉のカギをこじ開けた瞬間だった。

 

これで俄然勢いに乗る日本は、次のフェイスオフから一気にパックをダンプ。16志賀紅音が相手ゴール裏まで全速で追いかけDFを慌てさせてパックを奪い取ると、ゴール左にいた14床秦留可にパックを流す。

床(秦)はくるりと身体を反転させながら、ワンタッチでゴール前へパックを送ると、そこに詰めていたのは21久保英恵。ゴールハンターの嗅覚はまったく衰えていなかった。

 

久保はめいいっぱい右手を伸ばしながら、という難しい体制ながらも、床(秦)が送ったパックを浮かせてゴール右隅に送り込む。

 

これにはHARSSもまったく反応できず、日本は遂に2-2の同点とする。

ここまで47分間のあいだ決定力に苦しんだ日本だが、たった11秒で追いつくという素晴らしい集中力を見せてくれた。

 

■お互いの持ち味を出し合う展開に

これで試合は振り出しに戻り、残り10分間は死闘となった。

持ち前の運動量で攻撃のリズムを作っていく日本と、体格の良さを生かしイリーガルヒットのペナルティが取られるすれすれのレベルで体をぶつけ、パワーでパックを試合しようとするドイツ。それぞれの持ち味が発揮されて、一進一退の攻防が続く。

 

とはいえ、同点に追いついた日本の方が勢いがある。徐々にドイツ選手の動きが遅くなって、日本がじわじわと攻め込むシーンが多くなり、逆転勝利への期待は膨らんでいった。

 

■賭けに勝ったドイツ

 

しかし、15分すぎにドイツは攻撃を仕掛ける。

ここで攻めなければ後はない、というような気持ちが伝わってくる動きだった。フェンス際で体を当ててきて、日本選手に簡単にパックコントロールをさせることを許さない。このシフトはドイツが体力を振り絞ってでも攻めようと意思統一がされ、およそ1分30秒ほどというかなり長い時間、日本選手は守備の対応で振り回された。

アイスホッケーでは1シフト40~50秒が全力で動ける時間の目安とされる。そこからは、息が上がるなか必死に踏ん張るほかはない。

 

なんとか試合を止めて息をつきたい日本だったが、ドイツの気迫がそれをさせなかった16:55秒。ドイツはDFからのシュートをゴール前でG22 DELABREが合わせて勝ち越しとなる3点目を奪った。

長いシフトによって日本選手は少しずつ運動量が落ち、相手に対するマンマークが緩んでしまった。その隙を見事に突かれたゴールだった。

運動量を上げて、このシフトに勝負を賭けてきたドイツ選手の試合勘の方が、少しだけ日本を上回っていた。それが勝負の綾だった気がしてならない。

 

残された3分間、日本は再度猛攻を仕掛けるも、同点ゴールを奪うまでには至らず。

枠内シュート数は日本41、ドイツ18と日本は相手より2倍以上のシュートを放ったが、得点では1点及ばず実に悔しい敗戦という結果となった。

 

■ドイツは「リベンジ」に燃えていた

ドイツは2017年2月に苫小牧で行われたピョンチャン五輪最終予選において、日本と対戦し勝った方が五輪という状況のなか1-3で敗れ、出場権を逃した。

「その時の悔しさをこの世界選手権で晴らしたい」という気持ちが選手からもスタッフからも満ち満ちていた印象がある。それがなければ同点に追いつかれたあと、あっさりゴールを譲っていただろうし、長い時間攻め続けた決勝点のシフトも途中で息切れして終わっていたかも知れない。

国際アイスホッケー連盟の記事(IIHF.COM)で、ドイツGKのHARSSは「本当に大きな、大きな、大きな勝利。今日は遂に日本を倒す日が来たんだと思って臨みました」(抄訳は関谷による)と正直な心情を吐露している。

ピョンチャン五輪を終えた時よりも、女子ホッケー界は日本の後に続くチームの底上げがなされ、各国の差が縮まっていることを実感させられた試合だった。

 

■攻め続けての敗戦は勉強になったが、次は勝たねばならない相手

女子日本代表の飯塚祐司監督は「ホッケーに優勢勝ちはないですから」と悔しさをにじませながら、「守るべきところで身体を張れなかったり、パックへの執着心の差が最終的に出た」と話してくれた。

「同点に追いついてから押し切れないところがまだ我々の弱さですね。決勝点のシーンも、プレーを切りたかったがそれを『この時間帯ではこのプレーをする』という選択でまだ判断力が足りない部分があった。ホッケーを熟知しているという点で、あのシフトに関しては相手が上回っていました」(飯塚監督)。

 

この試合ではリベンジを許してしまう格好となったが、これからもドイツとのライバル関係は続く。切磋琢磨する相手としては格好のチームだろう。ぜひ次の対戦では日本が内容のみならず、得点でも上回ることを期待したい。

 

◎日本は4/6が終わった時点で勝点3の3位。

残り2試合(チェコスウェーデン)を連勝し勝点⑨に伸ばせばグループ1位通過となる。

 

<追撃のゴールを決めた 大澤キャプテンコメント>

――試合の感想を?

圧倒的に優勢に攻めていた試合でしたが、得点を取り切れないところがまだまだ課題だと思います。ドイツは身体が大きくてリーチがあるのは分かっていましたし、国際大会でボディコンタクトが激しいのはドイツに限らないので、今日だけ『日本に対してフィジカルで押し切ろう』という感じで向かってきたとは感じていません。

――自身のゴールについては?

流れを変えるために必要なところでゴールを奪えたのは良かったと思います。すぐ次のセットで点数も取れたので、自分たちのリズムを作れたとは思います。

――3失点目について?

シフトも長くなってしまいましたし、相手の点を取りに来る気迫に対して細かいバトルのところで勝ちきっていかないと、ああいう勿体ない失点に繋がっていくのかな、と感じました。シフトが長くなった分、ルーズパックへの寄りとかが遅くなってしまったので、時間帯を考えてスマートなプレイをするといった部分を改善しなければ。

しっかり気持ちを切り替えて、選手全員でコンディションも整えて次のチェコ戦に臨みます。残りの予選2試合を勝ちきって、次に繋げたいです。

 

<同点に追いつくゴールを決めた 久保選手コメント>

――同点ゴールのシーンは?

パスが出てくるという予測はしていたので、良い準備が出来ていたことで良い形で打ててゴールに繋がったと思います。良いタイミングで点数を取れましたが、勝ち越し点があればもっと良かったですね。8,9割は私たちが攻めていたのですが、キーパーを脅かすようなシュート、リバウンドを出させるようなシュートをもっと打っていかないと勝ちに繋がらないとは感じました。

――まだ1位通過のチャンスは十分あります。次に向けては?

今日の負けを次の試合に生かすためにはしっかり自分達のホッケーをすること。次の試合では得点をたくさん取って、良い流れで決勝トーナメントに行けるよう頑張りたいと思います。

――大澤選手、久保選手とチームを支える2人がゴールを取った。次に繋がるのでは?

試合では常に、私たちが得点を取ることでチームが流れを作りたいと思っています。ちーやん(大澤選手)も含めて選手1人1人が得点を取りに行く意識を持って、結果を出していきたいと思います。