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2試合続けての惜敗。チェコの攻撃力に後手に回る~4/8IIHF女子アイスホッケー世界選手権トップディビジョン 対チェコ戦レポート

日本 1(0-2,0-0,1-1)3 チェコ

シュート数:日本12(3-7,4-10,5-10)27 チェコ

得点経過及びアシスト:

第1ピリオド 3:34 チェコ1-0 G10 KRIZOVA  A18 PEZLAROVA

              8:45 チェコ2-0 G26 PRIBYLOVA A5 KOLOWRATOVA 13MASKOVA

第2ピリオド なし

第3ピリオド 11:09 日本ペナルティーショット⇒Missed.

       13:32 日本 1-2 G21 久保

13:32  チェコ 3-1 G21 VANISOVA(エンプティーネット)

→グループB通算:日本1勝2敗 勝点③ チェコ3勝0敗 勝点⑨

 

■序盤に抱えた大きなハンデ

 

いきなりの衝撃だった。

開始3分で日本は1点を献上してしまう。日本が自陣でパックを繋ごうとしたバックパスに対してチェコの選手が猛然とラッシュ。そこから繋がれたゴール裏からのパスをPEZLAROVAがシュート。GK1藤本那菜はそれを一度は止めるもKRIZOVAにリバウンドを叩かれ、早い時間帯での先制点を許してしまう。

さらに8分過ぎには日本陣内でパスを綺麗に繋がれ、ゴール前にいたPRIBYLOVAがノートラップでシュート。日本のDFがチェコの攻撃陣の動きに対して後手を踏み、少しづつマークがずれての失点により日本は0-2と速くも劣勢に追い込まれてしまう。

この試合の第1ピリオドのシュート数は日本3に対してチェコは7。攻撃力に長けたチェコの勢いを止めることが出来なかった。

 

■逆襲のきっかけは、床秦留可の個人技から

しかし、そんな劣勢のなかでも徐々に日本は打開策を見いだす。

気持ちを入れ直して、ディフェンスを再構築することからチェコに対抗。徐々に決定的なピンチのシーンも減り、日本の攻撃の形も出るようになってきた。

第1ピリオド終了間際には、センターサークル付近で14床秦留可が相手DFのパックを奪いブレイクアウェイ。GKと1対1の状況から右へと巻き込んでのシュートを狙うが、わずかにパックはゴールポストの右外側へと流れゴールならず。

第2ピリオドに入ると日本は普段通りの動きに近いパフォーマンスを披露。ほぼ互角の展開にまで流れを引き戻した。

何度かあったピンチもDFとGKの連携でしっかりと対応ができていた。

攻撃でも、相手の選手に対してしつこく絡むプレーができるようになり、そこから何度かのチャンスを作り出せるように。徐々にではあるが、日本が得点を奪えそうな雰囲気がリンクに漂い始めた。しかしながら、第2ピリオド中に1点を返すことはかなわず。勝負は第2ピリオドへと持ち込まれた。

 

■攻勢からペナルティーショット(PS)を獲得。

第3ピリオド。良い形を作るものの、日本はなかなか得点を奪えずピリオドも半分を過ぎる展開。その中から11分に日本がチャンスを迎える。

8細山田茜がシュートしたパックが弾けたところを14床秦留可がフォロー。GKがそのパックを抑えきれず、ゴールラインを通過するか否かのところで、相手選手がゴールクリーズのなかにはいつくばって、パックを手で掻き出した。

これがゴールに繋がるプレーを故意に止めたとして、日本にペナルティーショットが与えられる判定に。

 

ペナルティーショットのシューターを務めるのは21久保英恵。久保はゆっくりとした動きから、ゴール前でパックを大きく右に動かしてGKの右から巻き込んでのシュートを狙ったが、チェコGKのPESLAROVAの左足が伸びてきてパックの半分だけがレガースに当たった。このトライは残念ながらノーゴールに終わり日本は仕切り直しを余儀なくされた。

 

■追撃も、時間が足りず

それでも諦めず、攻撃の手を緩めない日本は13分過ぎにパワープレーでようやくの得点をあげる。

ゴール裏に回り込んだ床(秦)からのパスに合わせてゴール前の11三浦芽依がシュート。これは防がれるもゴール正面に大きく流れたリバウンドを遠目の位置から久保がシュート。狙い澄ましたシュートは、見事にゴール左スミを捉えた。

これで1-2と追撃の得点を挙げた日本。あとは残り6分半という時間のなかで追いつけるかどうかに全てがかかる。

 

その後も攻め続ける日本だが時間は容赦なく過ぎ、残り2分を切って日本はGKをあげての6人攻撃に出るが、相手ゴール裏でパックをVANISOVAに奪われると、彼女にそれをするするっとDFを交わしながら日本ゴールまで持ち上がられて無人のゴールにパックを流し込まれてしまい万事休す。最後の最後に相手選手の高い個人技に交わされ、日本は1-3での敗戦を余儀なくされた。

 

■急成長のチェコ。北米留学組が攻撃力を底上げ

チェコはピョンチャン五輪には出場しておらず、やや日本とは差があるとも思われていたが今回はかなり攻め込まれる場面が頻発し、急激にチェコが成長していることはありありと感じられた。

その理由は、チェコの若い選手の多くが北米のリーグや大学へ積極的に留学していることにもある。北米流のハードなチェックにも慣れている上に速いスピードにも対応出来るなどその環境で戦うことで、短期間で実力を上げてきた格好だ。

今後も彼女たちは、より進化することが見込まれるので、日本もそれに対応する方策を早めに見つけ無ければならない、そんな段階に来ている。

2月に帯広で行われたU-18女子世界選手権でも、日本はチェコとの争いに敗れて降格を余儀なくされており、これからもライバル関係は続いていくだろう。

 

◎日本は4/8、3試合が終わった時点で勝点3の4位。

次のスウェーデン戦で勝てば、グループ3位で決勝トーナメント進出となり、準々決勝ではA組1位と対戦する。グループB2位以上の可能性はなくなった。

 

チェコ戦後の飯塚監督インタビュー>

――悔しい敗戦ですが?

パック際の争い、1対1、シュート力……、全てにおいて相手が上回っていたと思います。

チェコは強かったですね。シュート数の差にもそれが表れたと思います。

――勝敗を分けたのは?

第1ピリオド、5人対5人のイーブンの状態で2点を先制されてしまったこと。

そのあと50分間は点数を許しませんでしたが、攻撃でシュートまでにいたる崩す動きが出来なかった。1対1のバトルであったり、ルーズパックの争いなどで相手がかなり上回っていたのが、試合を制することが出来なかった要因と思います。

チェコは2点を先制してから、リスクを背負わないホッケーに切り替えてきていた。日本自陣の深いところで展開されて、付け込むスキが作れなかったですね。

――開始直後の失点が重かった

もっとシンプルにプレーしていても、とは思うが、そこは選手の判断。リバウンドが上手く処理できていればこのような展開にはならなかったとは思います。

いたる所で、相手の読みとプレッシャーのかけ方などはチェコが上回っていました。

――攻撃では特に第3ピリオドに良いプレーがありました

PSを奪ったときのような相手の陣形を崩すプレーが試合序盤からコンスタントにできていたら、という部分は反省点。相手の運動量が落ちてきた第3ピリオドからではなく、序盤からそういった崩すプレーを出せるようにしたい。

――次戦スウェーデンに勝てば準々決勝進出できます

スウェーデンとは勝った方が残留確定、という条件なので全てを出し切るつもりで明日、頑張ります。

選手達もその状況はしっかり分かっていますし、グループリーグの最後はしっかりと勝ちたいと思います。

 

<追撃の得点を決めた久保選手>

――試合の感想を

もっと早めに点数を決めて自分達のペースに持っていかないと、苦しくなってしまうという試合でした。過去2戦もそうですが、アタッキングゾーンでプレーする時間が長いのに点数が取れていないことがペースを日本に持って来れていない理由だと思います。

パワープレーなどスペシャルプレーの時に確実にチャンスを決めて行きたいと思います。

――PSはごくわずかの差でした

完璧にキーパーを振り切れると思ったのですが、相手キーパーが着いてきたので、残念です

――ゴールについては?

やはりもっと早く決めていればまた違った展開だったと思います

――スウェーデン戦に向けては?

60分間、自分たちのプレーを100%出せるように準備していきます。

 

<ゲームベストプレイヤー 床秦留可選手>

――ブレイクアウェイでGKと1対1になるシーンがありました

決めなければいけないところだったので、そこは反省かな、と思います

――スウェーデン戦に向けては?

明日はスタートからタフな試合になるとは思いますが、60分間ハードに戦っていきたいですし、チャンスは絶対に決めて行きたいと思います。