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【4/28開幕! 世界選手権Div-IBに臨む日本代表を現地密着取材中!】日本とアジアのアイスホッケー、アイスクロスの選手を、男子・女子・パラのオールジャンルで応援していくWebサイト。その準備室です。2019年9月オープン予定

【今日から男子日本代表応援特設!】キーワードは「FAST HOCKEY」。日本のホッケーを貫き、絶対に優勝します!  ~岩本裕司監督に聞く~

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世界選手権Div-IBはエストニアで4/28に開幕


キーワードは「FAST HOCKEY」。日本のアイスホッケーを貫き、絶対に優勝します!

 ~岩本裕司・男子日本代表監督に聞く~

 

Text&Photo:関谷智紀(Tomoki Sekiya/アイスホッケー&アイスクロス新サイト準備室代表)

 

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岩本監督(中央)。コミュニケーションを重視してチーム力底上げをはかる

 

DivI-B優勝で昇格、そしてアジアNo.1の座を奪還へ。

世界選手権Div-IBが行われるエストニアで、いよいよ新生・日本代表が躍動するときが来た。

チームを率いる岩本裕司監督にとっては、2回目となる世界選手権。2位だった昨年大会の結果をふまえた上で、新生・男子日本代表がどのような意図を持って、優勝へ向けてどのような戦いで勝利を勝ち取って行くのか? 大会を前に、事前合宿の地フィンランド・ビエルマキで展望を聞いた。

 

 

成就なるか!? ベテランと若手。アジアリーグ勢と海外組の融合

 

日本代表のスローガンとして岩本監督が大きく掲げるのは「ファストホッケー(FAST HOCKEY)」だ。

日本選手の利点であるスケーティングの速さと上手さ、そして試合が終わる瞬間まで手を抜かず勤勉に走りきる、という特徴を生かしたうえで、アメリカのプロリーグで揉まれてきた平野選手をはじめとする海外勢の決定力、シュート力を加えることで日本代表に1段階上がった強さの次元を加えようというのがその真意だ。

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選手達の動きを入念にチェックする

 

代表合宿が4/18にスタートしたときも岩本監督の表情は柔和だった。

男子日本代表はフィンランドナショナルチームもここで練習しているというリンクで、じっくり6日間。チーム戦術の浸透と選手同士の意識のすり合わせ、融合を図った。

「だいぶ良い形で、戦術の理解も選手同士のコミュニケーションも深まっていると思います。国内組と海外組が上手く融合できれば、そして日本が目指す自分たちのホッケーができれば絶対に負けない。そんな手応えを感じています」(以下、特に記述のないカギカッコは岩本監督のコメント)

 

「ここはホッケーに完全に集中できる環境で、宿泊面だけでなくリンクやロッカールームもフィンランド連盟の協力を得てとても練習しやすい状況になっています。チームのテンションもだいぶ上がっています」。

 

実際に氷上練習を見ていると、徐々にではあるがベテラン勢と若手の息が合い、こんなパスの組み立てから点が取れるのか! と驚かされるようなパターンでの得点も増えてきた。

そういう意味では着実に日本代表は進化している。

 

何が飛び出すか? 期待にあふれるメンバー構成

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若手の台頭のせいか、ゴール前での攻防もより激しくなっているように見える

今回は昨年大会のメンバーと比べて、FWが6名、DFが1名、GKは3人全員が入れ替わった上に海外組4人が入り、大きく変わった。監督がメンバー構成を大胆に組み替えた理由はなんだろうか? 今回このようなメンバー構成になったことについては、

「若返りを図りつつ、パスの精度をはじめとする技術力のあるベテランの良いところも継承しようという狙い」と監督は語る。

パスは回せるがシュートに行く勇気が無い、あるいは、打つべき時になぜかパスを選択してしまう、というのが日本代表が得点力不足に陥る原因だとはさんざん指摘されてきた。しかし、守り重視の戦いを余儀なくされるなかで、その問題はなかば手つかずの状態で放置されていたともいえる。

アジアリーグ勢をはじめとする国内組のクリエイティブで細かいホッケーと、海外組のフィジカルでアグレッシブなプレースタイル。これを高いレベルでミックスできれば、日本が掲げている『ファストホッケー(FAST HOCKEY)』というスタイルに繋がっていくと信じて取り組んでいます。若い選手(の状態)を上げていくのは私たちスタッフとベテランの仕事ですから、そこに注力しつつチーム全体の力を上げていきたい」。

岩本監督は、長年の日本の課題にメスを入れたといえるのかもしれない。その手術が成功するか否かは、この大会で分かる。

気になる海外勢。その特徴は? 

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平野裕志朗(白)の活躍が日本の命運を左右するかも知れない

では攻めのキーマンとなるであろう海外組はどんな選手がいるのか? 監督に彼ら海外組の印象を聞いてみた。実際にアメリカから直接この合宿に合流した選手もおり、監督自身もプレーを直に見るのは久々という選手もいたが……。まずは日本のファンも大注目、日本人でFWでは初となるAHL出場※を果たした平野裕志朗選手について。

(※AHLはNHL直下の2部にあたる存在のリーグ。日本人ではGK福藤豊選手しかプレー経験者がいなかった)

「平野はシュートの強さがクローズアップされがちですが、シュート精度もこのメンバーの中では飛び抜けていると感じました。彼が1点を入れてくれれば必ず流れが良くなるので、そういったプレーを期待しています。AHLに上がった経験をぜひここでも生かしてほしい」。

平野は明らかにアジアリーグでプレーしていた時よりスケールアップして代表に戻ってきた。相手に当たられても体幹の軸がブレず、厳しい体勢からも強いシュートをゴールの隅に飛ばしていくシーンが幾度もあった。GKの小野田拓人も彼の成長を証言する。

アジアリーグのどの選手よりも彼のシュートは速い。ロシアのサハリンや韓国チームの外人助っ人を含めても、です。まだ練習でこの速さですから、試合になったらもっと強いシュートが出ると思うので、そういう選手が仲間に居ると思うと心強いですね」(小野田)。

平野は今回間違いなく核となる選手となるはずだ。

 

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三浦優希(白)。大学では今季苦しんだが、その壁を突き抜けた印象も。爆発できるか?

続いて三浦優希選手について。監督は彼をどう捉えているのか?

「三浦は平野とはまったくタイプが違いますが、非常に期待しています。クリエイティブなパスを供給できるし、自分が不利な体勢に追い込まれても味方を生かせるプレーが出来る。昨年の大会でも、ここで1点が欲しいところで彼のアシストが出てチームを救ったこともある。そういうプレーをぜひエストニアでも見せて欲しい」。

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佐藤航平は、守りもしっかり出来る選手へと大学での戦いで進化を遂げている

三浦選手と同じくNCAAの1部でプレーする佐藤航平については

「彼はスケーティングにスピードがあり、身体を張ったプレーもできます。その特徴を生かしてチェッキングラインに入れました。大きな海外選手にもひるまずガンガン前へ前へとチェックに行って流れを呼び込むプレーができる。そのプレーでチームに勢いをもたらして欲しい」。

 

「サプライズ選出」の小坂丈。監督が彼を抜擢した意図とは?

そして今回ある意味サプライズで招集されたのが、アメリカの独立リーグSPHLでプレーする小坂丈だ。東部ノースカロライナ州のチームに所属して単身、腕を磨いてきた小坂選手だが、監督は3年ほど前から彼に注目していたという。

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まだあどけない印象すら受ける小坂丈だが、スケールの大きさには将来性を感じる

「技術的にはまだまだの部分がありますが、海外選手に引けを取らない身体の強さ、大きさ、そしてゴールに向かって突き進むプレーを買って招集しました。(小坂選手の加入は)彼にとってもチャンスだと思うし、代表にとっても新しいスタイルを生み出すチャンスだと思っています」。

 

彼ら海外組が入ることで戦術も大きく変わることが予測できる。

海外選手に対しても力負けせず、パスを繋ぐ拠点となれる選手が各セットに配置できるため、パックを相手陣内に放り込んでからスピード勝負でパックを奪いに行くダンプ&チェイスの戦術から脱却し、ブルーライン付近で相手ゾーンへ進入しながらパスで相手DFを翻弄するスタイルへの転換を日本は模索できている。

監督が目指すその形が上手くでき上がれば、それは単にI-BからI-Aへと上がるだけではなく、日本がその先トップディビジョンを見据えて世界の強豪と互して戦うための大きな武器を手に入れることとなるからだ。

「今大会はかならず優勝して次のステップへ進まなければいけない大会だと思っています。そのためにこの合宿でチームのコンビネーションを高めていきます」(監督)

 

新時代は俺たちが創る! 日本代表の誰もがその気概に満ちている

今回、合宿地では対外試合が行われる予定だったが、相手の都合が付かず残念ながらキャンセルとなった。その影響は少々気がかりで、アジアリーグ勢は特に試合から離れており試合勘を取り戻すのは実戦の場となりそうだ。

フィンランドで練習試合ができなかったのは確かに痛いです。ただ自分たちが試合を組み立てるなかで相手のゾーンへ入っていくようなプレーは、日本で行われた壮行試合の韓国戦でもできていた。ウクライナ戦の序盤はまずは我慢です。しっかり守って各選手が勘を取り戻していき、第2ピリオドあたりから、自分たちらしい、日本らしいホッケーを展開していきたい」

 

4/24に合宿は無事打ち上げ。監督も「合宿を振り返れば80点。大きなケガ人もなく非常に中身の濃い練習ができた。スピードもキレも出てきましたし、全体的には良い仕上がりだと思います」とひとまず安堵する。
GKについても「3人のうち誰が出てもまったく心配ないレベルまで春名コーチがしっかり見て、引き上げてくれた」と監督はいう。

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ほぼ予定通りの内容で合宿を終えた日本代表は4/25にエストニア入り

 

「海外組の選手達も非常に素直で、いま日本が取り組んでいるホッケーを吸収しようとの意識がとても高いうえに、ゴール前での1対1の強さなどを逆にチームに浸透させてくれていると感じています。海外組が合流したことで、チームが一段階ステップを上がったことは確かです」

 

『進化した日本代表の力』が試されるまであと2日。

強さを証明できるその瞬間まで、日本代表は静かにその時を待つ。

 

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<準備室サイト代表:関谷より>

アイスホッケーファンの皆様こんにちは。新サイト準備室代表の関谷智紀です。いよいよアイスホッケー世界選手権Div-IB@エストニア・タリンに向けてのカウントダウンに入りました。

4/28 13:30(日本時間19:30)の対ウクライナ戦から日本代表は5試合総当たりのリーグ戦で優勝を目指します。

私どもでは、今年9月にサイトオープンを予定していますが、先日の女子日本代表スマイルジャパンに引き続いて、男子日本代表の世界選手権の戦いもできる限りカバーして行きたいと思っており、本日から当ブログでの記事配信をスタートしました。Facebookでの配信(fb.me/WebsiteoficeHockeyandIceCross)ともども、ぜひごらんください。

(とはいえ、URLがU-18 の時と一緒なのはナイショ(^x^)……)

日本のアイスホッケー界は、昨年からさらなる危機的状況が押し寄せているように見えますが……。

いっぽう東北海道クレインズアジアリーグ加入が内定したり、男子U-18が優勝し昇格したり、女子スマイルジャパンが次の五輪へのステップを1歩進めたり、福藤豊選手以来日本人2人目のNHLプレイヤー誕生も間近か、と思わせるほど海外での若者達の活躍がめざましかったりと、明るい材料も非常に多くなっています。

そのなかでも、やはり男子日本代表が活躍すればもっとアイスホッケー界の未来に明るい光がともるのは間違いありません。 

そういうわけで、今回は(も)、男子日本代表を当サイトでは徹底応援します!!

ぜひアイスホッケー日本代表への応援、皆様の気持ちを結集させましょう。選手達にもその声はちゃんと届いています。

日本アイスホッケーの可能性を信じて。共に戦いましょう。

 

(当サイトも応援していただければ幸いです。ここまであまり世間一般に出ることのなかったアイスホッケーの情報を、コアなファン以外の方々に知っていただくことを目的にしています。さらに近い将来、私どもが目指すのは、日本のみならずアジアパシフィックのアイスホッケー、アイスクロス情報をカバーするサイトです)